人生100年時代の新しい働き方

著 者:小暮真久 
出版社:ダイヤモンド社
出版日:2017年9月21日 第1刷 発行
評 価:☆☆☆(説明)

 「人生100年時代」が気になって、そういうタイトルや内容の本を何冊が読んでいる。本書はその1つ。

 本書は「仕事を、人生を、よりよい方向にシフトさせながら幸せを見つける生き方」をする人を「ライフシフター」と定義する。「シフト」をより具体的に言うと、「仕事の場所や職種を変える」こと。そして、そうした生き方に必要な「5つの力」と「14のソフトスキル」を紹介する。

 「5つの力」は、「見いだす力」「聞き出す力」「嗅ぎとる力」「つかむ力」「味わう力」。「14のソフトスキル」は、例えば「見いだす力」に関連するものとして「未来想像力」「アイデア直感力」「ありのまま観察力」の3つがある。さらに例えば「未来想像力」を身につけるには「過去を見る」とか「外の人との対話」が役に立つ、という具合。

 説明は懇切丁寧だ。こんな感じで14のソフトスキルが時々具体例を引きながら紹介される。役に立ちそうなちょっとしたコツもある。例えば「聞き出す力」の「深堀り質問力」で、有益な情報を得るのに「インタビュー終了後に片付けながら質問する」とか。

 ただし、こんな感じで「いいこと」は書いてあるんだけれど、「私が知りたかったこととは違う」という思いが、読み進めるほどに募る。このスキルを身につければ、コミュニケーション能力と順応性に優れた、軽やかなある種の万能人になれる。でも、私はそういうものになりたかったわけではない。(よく見ればサブタイトルに「生産性を高め、パフォーマンスを最大化する~」と書いてあるので、このミスマッチの原因の大方は私の方にある)

 私は「あと数年で迎える定年の後をどう過ごすか」という、少しみっともない問の答え(のヒント)を求めていた。確かに「人生100年時代」の端緒となった「ライフ・シフト」でも、「教育」「仕事」「引退」の3つのステージモデルから「マルチステージ」へと書いてあった。しかし、私としては「マルチ」といっても、ステージが2つか3つ増える、というイメージだった。著者がモデルとした人々のように、早ければ数年でシフトするような生き方は考えていなかった。

 「コミュニケーション能力と順応性に優れた人になりたい」という人、「役に立ちそうなちょっとしたコツを知りたい」という人にはおススメ。「定年後をどう過ごすか」を考えるには、ちょっと不向き。

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