「超」入門 空気の研究

書影

著 者:鈴木博毅
出版社:ダイヤモンド社
出版日:2018年12月5日 第1刷発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 著者の鈴木博毅さんから献本いただきました。感謝。

 帯でもPRしているけれど、著者には「「超」入門 失敗の本質」という著書がある。旧日本軍の組織的問題を分析した「名著」と言われる「失敗の本質」を、今日的な事例も使って分かりやすく説明した本。これが一部では(私の周辺では)「元の本よりいいのではないか」と評価が高い。

 本書は先の著書に続いての「「超」入門」で、これも「名著」の「空気の研究 」を元にしたもの。紹介も先の著書に倣うと、「空気の研究」を今日的な事例も使って分かりやすく説明した本、となる。

 ここでいう「空気」とは「空気を読め」の「空気」。それに反する言動をとると叩かれる「同調圧力」があり、それは絶対的支配力を持つ。そして「空気」は、場合によっては破滅を招く。「空気の研究」で、旧海軍の中将の言葉が紹介している。「全般の空気よりして、当時も今日も(戦艦大和の)特攻出撃は当然と思う

 著者はこの「空気」を「ある種の前提」という言葉に置き換えることで、「空気」の正体を明らかにすることを試みる。その過程で、日本的ムラ社会を動かす「情況倫理」、日本人を思考停止に追いやる要因、などを解き明かしていく。実に説得力がある。今の日本を覆う「空気」に疑問を感じているなら、一読をおススメする。

 「今の日本を覆う~」と書いたけれど、本書は「現在の日本への警鐘」だ。著者は明示的には書いていないけれど、私は文章の一つ一つにそう感じた。「はじめに」に紹介された「空気の研究」の一文が象徴している。「もし日本が、再び破滅へと突入していくなら、それを突入させていくものは戦艦大和の場合の如く「空気」であり(後略)」

 もう一文、著者の言葉を紹介する。「このような国で、言葉と行動がまったく違っても、恬として恥じないウソつきがいれば、社会に大混乱を引き起こし、国家を未曽有の破滅に誘導できてしまうのです

 これは「オキナワノミナサンノココロニヨリソイ」と言ったあの人のことなのではないか?もちろん著者はそんなことは一言も言っていないけれど...。 

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