RDG レッドデータガール 氷の靴 ガラスの靴

著 者:荻原規子
出版社:角川書店
出版日:2017年12月21日 初版発行
評 価:☆☆☆(説明)

 第6巻の「星降る夜に願うこと」で完結した 「レッドデータガール」シリーズの、5年ぶりの新作。表題作は、シリーズ主人公の鈴原泉水子のルームメイトの、宗田真響の視点で、「最終巻のその後」を描いたもの。その他に、泉水子の幼馴染である相楽深行の視点で描いた短編を3編収録。

 深行視点の短編から。「影絵芝居」は泉水子と深行が、泉水子の実家がある玉倉山で暮らしていた中学三年生のころ。深行はそつのない優等生で、初々しくもある。「九月の転校生」は、深行が中三の9月に、鳳城学園に転校してきてから。ここは本編では描かれていない時期で、本編で登場する人物たちの「それ以前の姿」が描かれている。「相楽くんは忙しい」は、わずか8ページ。

 深行視点の3編は、アニメDVDや単行本、コミックスの発売時の、特典やプレゼント用に書き下ろしたもので、まぁ読者サービスだ。イケメンキャラでもある相楽深行くんの、思春期の男の子の心情を控えめに描いた。シリーズ本編が持つミステリーや神霊の世界の要素には乏しい。軽い気持ちで読める。

 それに対して真響視点の表題作「氷の靴、ガラスの靴」は、本編からの流れを汲んでいる。泉水子や真響たちが、何者かに試されることになる。まぁ物語のすべり出しは、深行視点の短編と同じような感じで「まさかこのまま何も起きないのか」と思われたけれど、泉水子が結界を作っている鳳城学園を離れて、横浜へ舞台を移してから面白くなる。

 真響は戸隠忍者の家系で三つ子の姉。著者は「ドラマの主人公になれる背景をもっていてほしい」と考えて生み出したそうだ。今回、そのドラマの片鱗が見えたけれど、まだまだありそうで楽しみ。シリーズ本編も、これで先へ続く道筋がついたので期待。

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