著 者:天花寺さやか
出版社:PHP研究所
出版日:2020年1月14日 第1版第1刷 2020年12月23日 第3刷
評 価:☆☆☆☆(説明)
あやかしよりも人間の方に悪いヤツが多いじゃん、と思った本。
「人ならぬ者たち」が起こす事件に対応する「京都府警あやかし課」の活躍を描く第3弾。そこの新人隊員の古賀大(まさる)が主人公。京都御苑の鬼門に祀られる神猿に授けられた「魔除けの力」を持っている。
今回登場する「人ならぬ者たち(あやかし)」は、絶滅に瀕した魚とか、お地蔵さんとか、..平和な感じでとても事件を起こしそうにない。そう、彼らは被害者、事件に巻き込まれた側だ。最終話では弁慶と刀に封印された僧兵が登場する。こちらはなかなか迫力がありそうだ。大が「今更ながら、京都って何でもありの町やなって思いました」とのたまうのだけれど、まさにそんな感じ。
面白かった。基本的には「あやかし」絡みの事件を大たちあやかし課の面々が、神仏の力も借りながら解決する。その際に大たちの特殊能力を使う「大立ち回り」があったりなかったりするけれど、同じようなパターンの繰り返しになるのは否めない。そこを日本と外国の神仏観の違いをチラっと見せたりすることで、変化が付いている。この変化がとてもいい。料理の香辛料のように効いている。
今回は、あやかしよりも人間の方がずっと怖い。前作「京都府警あやかし課の事件簿2 祇園祭の奇跡」で登場してあやかし課に捕らえられた「強力な敵」っぽい人物がいるのだけれど、今回もストーリーに絡んできたので、おそらくシリーズを通しての敵となるのだろう。大の恋心の行方とともに、どうなるのか楽しみだ。
どうやら私は「大立ち回り」が好きらしい。
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