超リテラシー大全

編 者:サンクチュアリ出版
出版社:サンクチュアリ出版
出版日:2021年7月17日 初版 発行
評 価:☆☆☆(説明)

 ネットでなんでも調べられるけれど「信用できる情報」を見分けるのは難しいから、こういうのがあってもいいかなと思った本。

 ニュースやSNSを見ていて、情報が多すぎるのはしんどい。本当のことだけ教えて欲しい。そういう人に「その道のプロ」が正しいと考える情報をだけを厳選して一冊にまとめたもの。「お金(投資・貯蓄・保険)」「仕事(転職・独立)」「IT(情報収集・デバイス)」「住まい(家・土地選び)」「法律(トラブル対処)」「セキュリティ(被害予防)」「医療(病気・治療)」「介護(親と自分の老後)」「防災(災害対策)」の9つの分野を網羅する88項目が収められている。

 例えば「お金(投資・貯蓄・保険)」の最初の項目は、「老後2000万円を信じてはいけない」。金融庁の「年金だけでは老後には2000万円足りない」という試算のことだけれど、あれには前提があってその通りにはならない、という話。じゃぁどうなるの?と言えば「2000万円ではまったく足りない可能性もある」「年金をあてにしない場合はだいたい1億円」。

 「おいおい。ずいぶん煽ってくれるじゃないか」と思ったけれど、このあとで「数字だけ漠然と追いかけていてはお金のリテラシーは高まりません」となって、「今のお金の使い方を見直す」「必要なお金を見直し、一発逆転を狙わない」「投資の正しい情報を身につける」と続く。つまりは「自分のケースで試算しろ」ということで、最初の「煽り」から一転したいい着地点だった。「信用できるかも」と思った。

 9つの分野の全部に興味があったわけではないけれど、全部読んでみた。そうしたら、さほど興味がなかった「医療(病気・治療)」「介護(親と自分の老後)」が、読んでよかったと思うことが多かった。考えてみれば「興味がないこと」は知識もないわけで、いろいろと知ることができてよかった、ということなのだろう。

 ひとつ気になったことも。「住宅ローンの繰り上げ返済はしない」とあって、それは返済に充てるお金を「利回り3%で運用したら、支払いの金利分を上回る」という理由。言っていることに間違いはないけれど、「3%で運用」は簡単じゃないだろう。いやむしろかなりハードルが高い。

 もちろん別のところに「投資の正しい知識を身につける」ことも書かれているけれど、多くの人はそういう「前提」を飛ばして「結果」の「繰り上げ返済はしない」だけが頭に残ってしまう。危険だ。

 私はITの分野なら(プロだなんて言わないけれど)誰かに教える立場にある。「ITを活用しましょう」という話の中で、似たような「危険」が潜んでいないか心配になった。

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