編集をひもとく

書影

著 者:田村裕
出版社:武蔵野美術大学出版局
出版日:20年月日 第刷 発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 本を「情報」だと考えている人には分からないだろうな、と思った本。

 本書は書物の「編集のされ方」を観察するための手引書。「編集」というのは、(1)ある一定の方針のもとに(2)材料となる様々な情報を集め(3)取捨選択や組み合わせを行って(4)まとまりのあるかたちにつくり上げること。「観察」は、編集方針やコンセプト、編集方法、表現の特徴を読み取ること。さらには使われている活字や紙、印刷や製本の方法などにも目を向ける。

 現在流通している文芸書の多くは、書籍本体に「カバー」が巻かれ、さらに下部を覆うように「帯」が巻かれている。本体の方は表紙があって、1枚紙を挟んでメインの「本文」が始まる。「本文」は四辺に余白があり、余白には章タイトルやページ番号などが入る...。といったことを意識して見るのだ。

 まぁ本を手に取ってこんなことを考える人は、そう多くないだろう。しかし、こうした細かいことのどれ一つを取っても、誰かが決めているわけで、決めるからには何らかの「意図」がある。その意図は読者が意識しなくても伝わることもあるし、伝わらないこともあるのだろう。「ものづくり」に似ている。というか「ものづくり」そのものだ。

 私は毎日のように本を読んでいるのだけれど、その本の違う見方を得られてとても新鮮な気持ちがした。

 また、本に関する知識も増えた。例えば「台割」。印刷機が一回転すると表裏8ページずつの16ページが印刷され、これを「台」と呼ぶ(これを3回折り畳むと16ページの小冊子状になる)。240ページの書籍なら15台あるわけだ。その15台のそれぞれにどんな内容を割り振るのかを決めたものが「台割」

 例えば、雑誌などでカラーからモノクロにページが切り替わっていたら、それはたぶん16ページの倍数で切り替わっている。カラーだけでなく、紙質が変わっていたりすることもあるそうだ。そういう編集の「意図」があるわけで、それは何かを考えたりすることもできる。

 このほか、書籍の各部分の名称、出版の歴史や、製本の分類、文字フォントなどなど。いろいろなことを平易な言葉で教えてくれる。「読書が好き」なだけではなくて、「本(そのもの)が好き」になりそうだ。

 最後に。そう言えば「電子書籍」には、この本に書かれた多くのことを備えていない。なんと味気ないことだろう。

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