編 者:古市憲寿
出版社:小学館
出版日:2015年7月6日 初版第1刷 発行
評 価:☆☆☆(説明)
本書を読んでみようと思ったのは、病児保育を社会に先駆けて手がけた、NPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹さんが、Amazonレビューで本書のことを絶賛していたからだ。
新聞広告で本書のことを知り、これまでに読んだ著書から、著者の古市憲寿さんと「保育園」が結びつかず、違和感を感じた。専門外のことを本にしても、大した内容にならないように思った。しかし駒崎さんが絶賛するなら「専門外」と侮れないかなと思ったのだ。
最初に。タイトルを見て「もっと早くから勉強させようってこと?」とか、「幼児の時から管理しようっていうのか?」とか思った方がいるかもしれないけれど、それは違う。育児の負担が過剰に「お母さん」に集中する現状を変えるために、「誰でもが子どもを保育園に預けられるようにしよう」ということなのだ。
それがいい人は、子どもを預けるのは毎日じゃなくて1週間に1時間でもいい。「義務」としたのは、そうしないと「そんなに小さいのに預けられちゃうなんてかわいそう!」と、悪意もなく言っちゃうおばさんがいるからだ。そう言われると「お母さん」は後ろめたくなってしまう。
社会学者らしく著者の考察は、調査データに基づいて論理的だ。それによって、現在の子育てを取り巻く状況の異常さと不合理さを浮き彫りにする。「子どもが3歳までは、家庭で母親の手で育てないと、子どものその後の成長に悪影響を及ぼす」という「三歳児神話」も粉砕してしまう。
さらに、誰でもが子どもを保育園に預けられて、子どもが良質な保育を受けられるようになれば、社会が安定し、犯罪率も下がり、そして「おじさん」たちが大好きな「経済効果」もあるという。著者が言うように「一刻も早く実現すればいい」気がしてくる。
最後に。すでにいろいろな方が指摘しているのだけれど、「少子化問題」は、ここ2~3年で改善しなければ手遅れ(もう手遅れという人もいる)という緊急度にある。それなのに「待機児童問題」一つとっても解決できていない。対策に「本気度」が足りない。何十年も前からわかっていたのに。
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