著 者:広瀬 立成
出版社:ナツメ社
出版日:2006年11月27日初版
評 価:☆☆(説明)
テレビで、宇宙の成り立ちを解き明かす究極の理論として「超ひも理論」を紹介していた。それを観たときには少しわかったような気がした。だから、本を読んでもっと良く知ろうと思って本書を手にした。
結論から言えば、私向きの本ではなかったようだ。超ひも理論のおぼろげな形を掴むことさえできずじまいだった。
本書は、「図解雑学」というシリーズの1冊で、その他には「人体の不思議」や「世界の歴史」など、自然、社会、人文科学のテーマが50あまり並んでいる。本書のテーマ「超ひも理論」はかなり難解な部類に入るだろう。
左ページに解説、右ページにはその説明図、という構成で、平易な説明をしよう、という意思が、この構成からも文章からも伝わる。それでも難しかった。
量子力学と相対性理論の概略から始まって、この相対する2つの理論の統合の道のりが丁寧に説明されている。これが今の科学のあり方なのかもしれないが、「相反する理論A(例えば量子力学)と理論B(例えば相対性理論)が、ともに正しいとすると、こうでなければうまく説明できない。→であれば、こんなものが存在するはずだ」という、哲学のような論理展開が多い。
そして、理論的に存在を予言されたものを実験で発見できれば、理論の正しさが証明された、となるわけだ。これは良いのだけれど、実験で裏付けられていない物質は「まだ発見されていない」という言い方をするらしいが、これには違和感がある。理論に誤りや見逃しがあったら一生見つからないのではないか?
また、今はないけれど、「ビッグバンから10の-44乗秒後から10の-36乗秒後までの間には存在した状態」なんてことを、サラッと言われてもついていけないし、そんな一瞬以下の時間に意味があるようにも思えない、なんて思ってしまうのは、私が科学者ではないからか?
そもそもは、テレビでは「超ひも」は、10次元、11次元の世界に存在する、ひも状の振動だと言っていた。そして、多次元の存在であることを、パラレルワールドの考え方と関連付けていたので、興味を持ったのだ。これについては、本書からは得るものはなかった。テレビがテレビ特有の味付けで「超ひも」を料理してしまっていたのかもしれない。
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