著 者:上橋菜穂子
出版社:偕成社
出版日:2007年3月初版1刷
評 価:☆☆☆☆(説明)
いよいよ「守り人」シリーズの大団円。チャグムとバルサは再び別々の道を行く。バルサはタンダを救出するための旅に、チャグムはロタとカンバルの兵を率いてタルシュ帝国軍との戦いに臨む。
目に情景が浮かぶような場面が1つ。タルシュ軍に攻められ防戦一方の新ヨゴの砦で、南から来た援軍を見て指揮官が叫ぶ「ロタ騎兵が助けに来てくれたぞ!希望をすてるな、ヨゴの武者たちよ!」
目に浮かんだのは、ロードオブザリングで、ペレンノール野の戦場にローハン軍がゴンドールの救援に駆けつける場面。そして、チャグムは「ロタとカンバルの勇士たちよ、志あらばわれにつづけ!」と先頭に立って戦場に飛び出す。
あまり簡単に感動しないたちなのだが、ここでは身体が震えた。このシーンのために是非映画化して欲しい。NHKで「精霊の守り人」がアニメ化されたが、できれば実写がいい。(もちろん、お金をたっぷりとかけた実写)
チャグムと帝の親子の関係がどうなるかも気になっていたが、著者はよく練られた回答を用意していた。天災を告げられ、自らの治世の誤りを認めなくてはならなくなった時に、帝は言う、「そなたはそなたの道をいくがいい。」冷たく突き放したような言い方にも聞こえるが、そうではない。父が子を認めた瞬間だったのではないか。決して誤ることのない「神の子」としては、これ以上の言葉はない。
「守り人」というシリーズ名は、バルサの職業である「用心棒」から由来しているのだろう。しかし、10冊のシリーズが終わってみると、真の主人公はチャグムだった。著者がそう考えていたかどうかはわからないが、おそらくは著者にも意外な展開だったと思う。チャグムの成長を一番うれしく思っているのは、他ならぬ著者自身ではないだろうか?
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