著 者:碧野圭
出版社:PHP研究所
出版日:2015年5月22日 第1版第1刷
評 価:☆☆☆☆(説明)
シリーズの主人公が変わって「おっ!」と思った本。
「書店ガール」の第4巻。これまでの3巻の主人公は西岡理子と小幡亜紀という、吉祥寺の新興堂書店の書店員2人だったけれど、本書では高梨愛菜と宮崎彩加の2人にスイッチされた。愛菜は新興堂書店の学生アルバイト、彩加は駅ビルにある別の書店の契約社員。勤め先は違っているけれど二人は友人。
愛菜は大学3年生で友人たちは就活をスタートさせている。愛菜自身はこのまま書店業界に就職、という考えもある。しかしそれを聞いた友人たちは「えっ本気?」という反応。彼らにしてみれば、書店などという斜陽産業に就職するなんて「将来とか真剣に考えてるのか?」ということなのだ。
彩加には正社員への登用の話が持ち上がる。ただし、新規オープンする茨城県の取手店への店長としての転出が条件。さらに実家の沼津の母親から伯母が経営する書店の相談を受ける。差し当たっては改装の相談だけれど、「あんたが継いでくれるなら、それでもいい」という話もされる。
とても興味深いストーリーだった。主人公のスイッチが物語の広がりに繋がった。例えば、年齢をぐっと下げた愛菜を主人公としたことで、就活というほとんどすべて読者に共通するテーマを取り込んだ。彩加のエピソードは、これまで首都圏が中心だったシリーズに、地方都市が抱える問題を違和感なく加えることができた。
次は物語がどんな風に広がっていくのか楽しみだ。
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