著 者:万城目学
出版社:角川書店
出版日:2007年11月25日初版発行
評 価:☆☆☆☆(説明)
出版社のWEBサイトによると、18万部を突破し来春に映画公開が予定されている、著者のデビュー作「鴨川ホルモー」の続編ではなく、外伝的な短編集だ。前書の登場人物や周辺人物を主人公とした6編が収められている。それで「六景」。2007年に「野生時代」に毎月掲載されたものだ。
今回、主人公となったのは、京都産業大学玄武組の女性2人、同志社大学の女性、京都産業大学玄武組と龍谷大学朱雀団のOBとOG、立命館大学白虎隊の女性、昔の京都大学の男性2人、そして我らが「凡ちゃん」の6組。女性が多いのは「ホルモー」という一種異様な競技とのミスマッチがドラマになりやすいからかもしれない。
前書を読んだ時に、主人公の他2,3人以外は、人物像が殆ど描かれていなくて、ちょっと薄味に感じた。主人公が所属する京都大学青竜会に対する他の大学にも、魅力的なキャラクターの1人や2人いそうなのに、と思った。その点からすると、本書は「我が意を得たり」という感じだ。
また、著者は本書ではいろいろな趣向を凝らしている。甘酸っぱい青春小説であったり、昭和初期の文豪を登場させたり、400年の時を越える思いを描いたり。著者の引き出しには、まだまだどんなアイデアが出番を待っているのだろうと、読み進める程に期待が高まる。
だけれども...。読み終わって真っ先に思ったのは「もっと、青竜会の面々の話を読みたかったなぁ」だった。さっき「我が意を得たり」と書いた(言った)、舌の根も乾かぬうちにこんなことを書く(言う)のは、我ながら滅裂だとは思う。
たぶん「本編で登場したあの人」の話の方が思い入れを持って面白く読めるのだろう。あの人にはこんな隠された物語が..とか、あの事件はこういうことだったのか..とか。だから、本書の私の一オシは、「凡ちゃん」が登場する第二景「ローマ風の休日」だ。「鴨川ホルモー」読者は、この1編だけでも読む価値アリ、オススメだ。
表紙と章の表紙のイラストに注目。凡ちゃんって、こんなにかわいいのか!
さらに、もう一言。「凡ちゃん、その井戸の底を照らして覗いてみてよ。カエルがいるハズなんだよ。」(←「有頂天家族」読者へのメッセージ)
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凡ちゃんのエピソードも良かったですが、
私は将門の首塚の一編がお勧めです。
ウルトラ・シリーズも正体がばれる(正体をばらす)瞬間がワクワクします。
そういう意味でもOB・OGのペア同士が
秘密を共有することになる展開が好きです。
でもどのエピソードも続きを読みたい!
若手サラリーマンのための金言
「しかし、毎日、毎日、よくもまあ、こんなに会議があるもんだ。何かをすることばかり考えて、肝心の何かをする時間がない。愚かだ。非常に愚かだ」
(中略)
「榊原選手、一つ、いい言葉を教えてやろう。この資本主義社会を生きるリーマンにとって、特に俺たちみたいな入社三年目の連中にとっては、真実真正の言葉だ」
「聞かせてもらおう、本多選手」
「考える兵隊は要らない」
ホルモー六景
万城目 学
けだし名言。
ところで、表紙の絵とストーリーはマッチしてません。
ストーリーでは自転車…
narniaさん、コメントありがとうございます。ご無沙汰です。
OG,OBのペア同士の出会いの話は私もワクワクして読みました。
だた、こんなことを言うのは申し訳ない(誰に?)のですが..
私は、学生時代を京都で過ごし、「鴨川ホルモーで」登場する
地名のほとんどを、その雰囲気までも感じられます。
そして、卒業後の10年は東京で過ごしました。
それで思うのです。東京ではホルモーはできないだろうな、って。
だから、あの話は最後の方はいらなかったなぁ、と思いました。
ホルモー六景
書評リンク – ホルモー六景
「ホルモー六景」 万城目 学
「鴨川ホルモー」の続編、「ホルモー六景」を読みました。
今回は最初から面白かった。
プロローグで安倍君が高村君に「ホルモーに携わる人の数だけ、いろいろあるだろう。」と語っていた通り、今回は京大青龍会以外の大学の面々やOB、OGら「ホルモー」にかかわる人々の恋と友情の物語です。
長くなるので、気になったところだけ抜粋。
●第1景 鴨川(小)ホルモー
●第2景 ローマ風の休日
●第3景 もっちゃん
●第4景 同志社大学黄龍陣
ホルモーのベースとなる陰陽道には青龍、白虎、朱雀、玄武…