編 集:クーリエ・ジャポン編集部
出版社:講談社
出版日:2009年9月10日 発売
評 価:☆☆☆☆(説明)
R+(レビュープラス)様にて献本いただきました。感謝。
本誌は分類で言えば「ニュース・総合誌」ということになるのだろう。しかし、他の雑誌のどれとも違うように感じる。本誌は、フランスの週刊誌「クーリエ・アンテルナショナル」と提携した月刊誌だ。ちなみに「クーリエ」とは、元々は在外公館と本国、または在外公館の間での運搬業務。転じて小口の国際宅配便のことを言う。
そして、本誌は世界中を飛び交う荷物と同じように、国境を越えて発せられる世界の1500を越えるメディアのニュースの中から記事を選び、あるものは翻訳・編集し、あるものは日本で独自の解説も付けて紹介することで、世界から見た「日本」と、世界の「今」を描き出している。こんな雑誌は他にない。
例えば、私が読んだ2009年10月号では、アメリカ、イギリス、フランス、スペイン、オーストラリア、韓国、中国、ロシア、インドネシア、ミャンマー、タイ....挙げていけばキリがないのではないかと思うほどたくさんの国のメディアが発したニュースが紹介されている。
また、この号では3つの特集が組まれている。1つ目は「世界が見た”日本のCHANGE”」。日本の政権交代を世界がどう見たかだ。2つ目は「いま、なぜ「アフリカ」なのか」。こちらは勝間和代氏の責任編集。3つ目は「雑誌が「消える」日」。「活字メディアの未来」と題したシリーズの3弾目らしい。
特集以外も含めて、どれも刺激的な記事だ。「世界が日本をどう見たか」は多くの人が気になるところだ。しかし本誌はその深さにおいて優れてはいるけれども、この切り口は他誌でもテレビや新聞でも散見される。他ではあまり見かけないのは、外国メディアによる自国の調査報道や、日本以外の他国の報道だ。世界はますます同時的かつ多面的になっている。様々な視点で「世界を知る」ことの重要性が増してきている。
とは言うものの、1つの疑問が頭をかすめる。重要性が増しているとは言え、海の向こうのことには違いない。この雑誌がどのくらいのボリュームの読者に支持されるのだろう、という疑問だ。素人ながら雑誌は発行部数が大事で、そのためにはできるだけ多くの人に読んでもらえる誌面づくりが必要なのだろうと思う。
この疑問への答えは意外にも本誌の中にあった。「雑誌が「消える」日」という特集の「「エコノミスト」はなぜ売れる?」という記事中に「大衆向けの雑誌では勝負にならない。皮肉なことに、ときには限られた読者を狙ったほうが、世界を制する最善策となるのだ。」とある。キーワードは「ボリューム」ではなく、「アイデンティティ」と「品質」。本誌が目指すところもこれなのだろう。
そうそう、編集長がこの特集「雑誌が「消える」日」について、「まったく他人事ではありません(笑)」と書かれている。あまりに生々しくて、それを緩和するために(笑)をつけたのだと思う。ホントは笑ってる余裕なんかないのだろう。
人気ブログランキング「本・読書」ページへ
にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
(たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)
COURRiER Japon(クーリエ・ジャポン) 2009年10月号
「COURRiER Japon(クーリエ・ジャポン)」は、フランスの国際ニュース週刊誌「クーリエ・アンテルナショナル」と提携して、世界中のメディアの中から記事を厳選して翻訳・編集している講談社の発行する雑誌である。2009年10月号の特集は、「いま、なぜ「アフリカ」なのか…….