著 者:有川浩
出版社:新潮社
出版日:2006年9月30日 発行
評 価:☆☆☆(説明)
本書は著者のベストセラーシリーズの1冊「図書館内乱」に登場する本。スピンオフ作品ということになるが、「図書館内乱」の出版が2006年9月10日、本書は9月30日だから、著者は両方の作品をおそらく並行して用意していたことになる。
実はそのあたりのことは、あとがきで著者が説明してくれている。この本のテーマは「図書館内乱」でも重要な位置付けを与えられている。著者にとって重みのあるテーマだったために「図書館内乱」の中には収まりきらなかった、ということらしい。
「図書館内乱」を読んだ方なら、本書のことは知っておられるだろう。教官の小牧が幼なじみの毬江に渡した本だ。図書隊員がこの本を渡したことが、毬江の同級生たちの未熟な正義感を刺激してしまう。なんだか持って回った言い方になったが、「図書館内乱」を未読の方にはネタバレになるので、核心部分は言えない。
それは、著者もできれば核心部分を知らないで読んでもらいたい、と思っているのではないか?と思ったからだ。残念ながら私はそういう読み方は叶わなかったが、それでも核心が明らかになった時に、それまでに著者が施した仕掛けにヒザを打つ場面があった。この感触は、その核心部分を知らないで読むことで一層鮮明になるはずだ。
主人公の伸とひとみは共に20代。二人が出会うきっかけは、中学生のころ読んだ「忘れられない本」。ひとみがブログに書いた、その本についての「10年目の宿題」を、伸が見つけてひとみにメールを送る。..本の感想をブログに書いている身としては、ムズムズして落ち着かない展開。
正直に言うと、スピンオフ作品を侮っていた。「「図書館内乱」に出てきたあの本が実際にあったら面白いかもね(もっとひねくれて言えば、売れるかもね)」という程度のモノだと思っていた。ところがこの本は「直球のラブストーリー」で、思いのほか心を揺さぶられた。
気になったのは1つ、伸の言葉が多すぎて煩わしいこと。一生懸命なのは分かるが、何もかもを言葉にしてメールで相手に投げつけている感じ。上に書いた著者の仕掛けも伸がベラベラと明かしてしまうし。でも、元々そういう性格のヤツには違いないんだけれど、こんなふうに長々とメールで伝えなければならない理由も伸にはあった、と読み終わってしばらくしてから思い至った。
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確かに伸はストレートに何もかもぶつけすぎ・・だけどひとみも相当僻んだ性格なので(^^;
あそこまで踏み込んで強引にいかないといい関係は築けないのかもしれないですね。
しいていえば、あの大阪弁がうざい!のかも・・とも思った。
ちょっと表現が若者でなくて、年配の人ぽい大阪弁だったのもどうも気になった。
でも真っ直ぐな思いのぶつけ合い、直球ラブストーリーすごくよかったです!
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図書館内乱を読んだ時から気になっていた作品。
聴覚に障がいのある女の子と健聴者の男の子の恋愛話。
耳が聞こえないというハンデがあるせいで、メー……
YO-SHIさん こんばんは。
私もスピンオフ作品だし…、とあまり期待せずに読み始めて、いい意味で裏切られました。この1冊で十分完成度高いですね。
十分恋愛話なんだけど、私は不幸の克服?に重点をおいて読んでいたみたいです。
今日自分のレビュー読んで思い出しました(^-^;
こんばんは。
ほぼ、同時に読んでたみたいですね(笑)
YO-SHIさんは優しいのですねぇ。私はどぉ転んでも伸の理屈で引くタイプかも^^;
しかし、恋愛物が苦手な私を夢中にさせてくれた有川さんってやっぱ凄いなぁ~と感服しております。
図書館戦争シリーズ読んでる方って多いんですね。やはり読まなければ有川さんを多く語れないのか・・・
るるる☆さん、コメントありがとうございます。
大阪を愛する、るるる☆さんもあの大阪弁はうざいですか。
どうしてでしょうねぇ、私も神戸の生まれで母国語?は
関西弁なのですが、あれはうざい。
ちょっとした違和感ももちろんですが、文字になった
大阪弁に慣れてないからかもしれませんね。
変換がうまくできなくて、パソコンのかな漢字変換で
関西弁を入れるの大変なんだけど、有川さんは、手書き
なのかな、ATOKの方言辞書使ってるのかな?と本とは
関係ないことも考えてしまいました。(笑)
—-
たかこさん、コメントありがとうございます。
アクションも兵器もないラブストーリー、それまでの
有川さんの作品からすると異色だったと思いますが、
「スピンオフの割には」ではなくて、完成度が高い。
不幸の克服、という要素は大きいですね。
しかし「私も不幸なんだ」っていうことで結ばれる絆は
切ないですね。
—-
すももさん、コメントありがとうございます。
すももさんのブログも拝見しましたよ。
ほんと、ほぼ同時に読んでたみたいですね。何という偶然。
「優しい」と言ってもらえてイヤな気にはならないんですが
伸のような会話の仕方をする人は好きではありません。
言いたいことを全部投げつけて、相手の反応を待つというか
それも「こんな言い方をしたら、去って行ってしまうよな」
なんて思っているのに..
ただ、伸の場合はメールが主なコミュニケーション手段で、
メールって、普通の会話と違って、意見を少しずつ交換する
ってことができないので、今言いたいことは全部言って、
相手からの返事を待つ、ていう方法しかないのかな?
とも思ったんですよね。
図書館戦争も面白いですよ。読まなければ..なんてことは
ないですけど、読まれるといいと思います。
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有川浩 レインツリーの国
レインツリーの国有川 浩実は、去年にこの本を読んでいるのですが、図書館で見かけたのでまた借りてきました。初読の時は、ひとみと自分を重ね合わせすぎて、読みながら泣いて一緒に傷ついたり色々気づかされたり・・・なので、もう冷静にこの本について感想は書けそうにありませんでした。でも再読して、ちょっと離れてこの物語を見ることができたように思います。ネットの「レインツリーの国」という本のサイトで、昔大好きだった本の感想を読んだ伸。当時はこの本について語り合える人がいなかった為、色々この本の話をしてみたいと思って…
こんばんは~♪
実は私と旦那の出会いはネットがきっかけでして(^^ゞ(出会い系じゃないですよ。笑)
そして、私はひとみとはレベルも全然違うのですが、病気持ちで色々と行動に制限があったものですから、自分のことのように思えてしまって、かなり感情移入してしまい泣きながら読んだ本でした。(^^; だから冷静に本と向き合えず感情的に読んでしまったので、レビューも無茶苦茶になっちゃって(苦笑)
YO-SHIさんのレビューを読んで、そういえば大阪弁がうるさかったのかもなぁ…とか色々思い返しているところです。大阪弁って文字になると違和感ありますもんね。
ただ私は外出が出来なくてネットでメールで人と交流することが多かった分、YO-SHIさんが指摘されている、言いたい事を全部言ってしまってから相手の返答を待つというスタイルはそんなに違和感を感じなかったんですよねぇ。ネットって言葉だけで感情や顔の表情が伝わらないから、誤解のないように相手に伝えようとするとどうしても長文になってしまいますし。ネットって切ろうと思えばいつでも断ち切れる関係だから、(切られてしまったら悲しいけれど)でもこの真剣に相手の事を思って伝えようとしている文章を書いて、それで切られたらこの関係もこれまでだなという覚悟もあってあえて言葉にして書いている部分はあるかな?と思いました。それに相手はひねくれたひとみでしたしね。(笑)
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板栗香さん、コメントありがとうございます。
旦那さんとの出会いが、ネットがきっかけだったんですね。
そのころにネットがあってほんとうに良かった。そう思います。
「言いたい事を全部言ってしまってから~」というスタイルに
ついては、最初煩わしかったのですが、それもこれがメールの
コミュニケーションだと思い至ってからは、逆に気持ちがよく
分かりました。
実は、随分前に(ブログなんてないころ)、あるグループの
メーリングリストの運営者をやっていて、私のちょっとした
言葉使いが誤解を生んてしまったことがありました。
それからは、考えが正確に伝わるように文章を考えるようになり、
「どうしても長文になる」という板栗香さんの言葉が実感として
感じられます。長文になるだけでなく、考える時間が長時間にも…
MLのメンバーには「いつ寝てるんですか?」と言われてました。
すみません。板栗香さんのコメントに直接関係ないですが、
いろいろ思い出しました。
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