上手に人を殺すには

書影

著 者:マーガレット・デュマス 訳:島村浩子
出版社:東京創元社
出版日:2010年8月27日 発行
評 価:☆☆☆(説明)

 「本が好き!」プロジェクトで献本いただきました。感謝。

 おだやかでないタイトルだけれど、殺人のハウツー本では、もちろんない。セレブ探偵が活躍するミステリーで、著者のデビュー作「何か文句があるかしら」の続編、シリーズ第2弾。ちなみにタイトルは「How to Succeed in Business Without Really Trying(努力しないで出世する方法)」というブロードウェイミュージカルをもじったもの。このミュージカルのタイトルは本書のストーリーとも少し関係がある。

 主人公のチャーリーは、前作では「小国の財政がまかなえるほどの」と紹介されているお金持ちの女性。本書では「人生を数回生きても使いきれない」と形容されている。しかもゴージャスな美人らしい。恵まれすぎていて、いっそ清々しいぐらいで妬む気にもならない。
 そのチャーリーが、新婚の愛する旦那様のジャックの取引先のIT企業の重役の殺人事件に挑む。いや、やめとけと言われているのに首を突っ込む。ダメだと言われたのになしくずし的に仲間と一緒に潜入捜査をすることになる。
 命を狙われるような危険も何度かあるのだけれど、全体的にはカラッと乾いたノリで事件の核心に近づいていく。(どうやら銃弾もお金持ちは避けて飛ぶらしい)登場人物がみんな個性的なのも、物語を楽しくしている。今回は、「胸板が厚すぎて腕が組めない」というマッチョなボディーガードのフランクに特に注目。

 前作のレビューにも書いたけれど、「セレブ探偵」なんて言うと薄っぺらい「主婦探偵」ものを想像する。でもこのシリーズは「薄い」じゃなくて「軽い」。ノリとテンポの良さが最後まで途切れない。アメリカン・ライト・ミステリー&コメディ。

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