グリフィンの年(上)(下)

著 者:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 訳:浅羽莢子
出版社:東京創元社
出版日:2007年11月30日初版
評 価:☆☆☆(説明)

 「ダークホルムの闇の君」の続編。前作では、魔法使いはもちろんエルフやドワーフやグリフィンといったファンタジーの王道をゆく種族や生き物を配してはいながら、実はみんな観光旅行用にそれぞれの役割に応じて、善と悪の戦いなんかを演じている、という王道からはかなり外れたひねりの効いた設定だった。
 本書はそれから8年後の物語。続編には違いないが、前作とのつながりはあまりない。登場人物と舞台の設定を共通にした別の物語。主人公も前作ではダークという名の魔術師だったが、本書はその末の娘のエルダで、前作ではまだ十歳であまり重要な役ではなかったように思う。

 そのエルダが18歳になり、魔術師大学に入学する。同じ教授の指導を受けることになったエルダを含めて6人の学園生活が主な舞台。そのクラスメイトが、北の王国の皇太子、南の皇帝の異母妹、ドワーフ、後の二人は身分を隠していて、どうも訳ありらしい。
 魔術師学校の学園生活、といえばハリーポッターシリーズを思い出すが、だいぶ趣が違う。何と言うかこちらの方はハチャメチャ度がかなり高い。物語前半は小さなヤマをいくつかくり返し、後半に大きなヤマを持って来て一気に大団円。著者のお得意のパターンながら、これが読んでいて気持ちいい。

 登場人物の多さにちょっと戸惑うが、エルダのクラスメイトだけを押さえておけば大丈夫。上にも書いたように続編と言っても別の物語、こちらだけ読んでも楽しめる。

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