著 者:三上延
出版社:アスキー・メディアワークス
出版日:2018年9月22日 初版発行
評 価:☆☆☆☆(説明)
書店で本書を見た時「あれ?!」と思った。「ビブリア古書堂の事件手帖」と書いてあって、それは「ビブリア古書堂」シリーズの第1巻のタイトルだけれど、表紙のイラストに栞子と一緒に、黄色い服を着た子供が描かれている。第1巻には少なくとも主要登場人物には子供はいない。不思議に思って、裏表紙の紹介を読むと、なんと新刊だった。
「あとがき」によると、本書は「本編に盛り込めなかった話」や「大輔視点という物語の制約上語れなかった話」「それぞれの登場人物の後日譚」。全部で四話が納められている。栞子が自分の娘に語り始める、という形式で物語に誘導する。表紙の子どもは栞子と大輔の娘の扉子(とびらこ)だった。時代は第7巻から7年後の2018年、つまり現在。
本には、出版の経緯や著者自身のエピソードなどの物語があると同時に、人の手を経て来た古書には持ち主にも物語がある、というのが、このシリーズのコンセプト。本作でもそれは発揮されている。長く絶縁していた叔父と姪、気持ちがすれ違ったままだった母と息子、魅かれ合う若者二人、それぞれの縁を古書がつなぐ。そうかと思えば、高価な古書を前に生じた気の迷いで道を誤る話も..。
面白かった。特に大輔視点という制約を外したことで(正直言って、そんな制約があったのか?と思ったけれど)、自由な広がりが実現した。また、栞子と大輔が幸せそうでよかった。栞子の母の智恵子から栞子を経て扉子に受け継がれる、本への傾倒ぶりと能力は、もう怖いぐらいで、だからこそ今後の展開に期待が膨らむ。
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(たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)
YO-SHIさん、こんにちは。
これは本好きには堪らない設定&構成ですねぇ。
しかもYO-SHIさんの四つ星だから、期待値高いです♪
今月の積ん読読破月間走破した暁には自分への御褒美で二冊まとめ買いしたいと思います。
素敵な本の紹介をありがとうございます。
フウガさん、コメントありがとうございます。
なかなかの設定&構成だと思います。
この本に出てくるような稀覯本とは、私はあまり縁がありませんが、
それでも栞子が語るその本に関するウンチクは興味深かったです。
たくさん売れている理由は、ライトノベル風で読みやすいこともある
のでしょうが、やっぱり読んでいて心地よいからだと思います。