今日は、ちょっと長くなりますが、このごろ思ったことを書きます。
最近「20代で~しておきたい」という本が、たくさん出版されていることに気が付いたんです。このブログでもこの半年で「20代で身につけたい質問力」「20代で読んでおきたい成功の教科書」、そして先日の「20代のいま知っておくべきお金の常識50」と、3冊紹介しています。
調べてみると、昨年1年間に50冊以上もの「20代で~しておきたい」本が出版されていました。ちなみに同じ期間に30代、40代向けの本は、それぞれ10冊余りしか出ていないし、20代向けの本も2010年には10冊余り、2009年にはさらに少ないです。つまり、昨年は「20代で~しておきたい」本の、異常な出版ラッシュだったわけです。これはどうしたことなのでしょう?
このブログで紹介した3冊は、すべて献本でいただいたものなのですが、本を送ってくださった方は、口を揃えて「若い人に元気になってもらいたいので」といった趣旨のことをおっしゃっています。裏を返せば、今の若者が元気がないように見える、ということなのでしょう。その思いは私にもあります。
ただ、自分より下の世代を「元気がない」「頼りない」と感じるのは、今に始まったことではありません。昨年にこの手の本が集中したのには、別の要因があると思うのです。それは、政治経済社会のドン詰まり状態ではないでしょうか?前々からその兆候はありましたが、昨年はいよいよどうにもならなくなった感があります。
出版ラッシュは、このドン詰まり状態を見て、上の世代が悟った「諦め」と「懺悔」の気持ちの表れだと思うのです。「こんな日本にしてしまってごめんなさい。君たちには、生きづらく厳しい社会を引き渡すことになると思う」と。そして精一杯強がって「せめてそれに備えて欲しい」と、忠告するわけです。「まだ若い君たちよりは知恵がある」と思いたいのでしょう。
しかし、例えて言うなら、「あれもこれも必要」とドンドンお金を使って、借金まみれになった父親(母親)が、「元気ないなぁ、もっと元気出せよ」と言って、あれこれ忠告しても、素直に聞く息子(娘)がいますかねぇ。「お父さんのようにならないために」って言えば、少しは説得力があるかもしれませんが。
先日、新聞に20代の学生さんの投書が載っていました。「大人から度々「上昇志向がない」などとお叱りの言葉をちょうだいする。でも、もう大人は「経済成長!景気回復!」と疲れた顔でこれ以上叫ばないで欲しい。グローバリズム化を進め過ぎないでいてくれれば、あとは私たちが引き継ぐから」という趣旨でした。
彼らには彼らの価値観があるのです。出版関係の方には悪いのですが、私は、上の世代がせっせと発信する、上の世代の価値観に基づく「20代で~しておけ」という忠告は、悲しいけれど彼らに受け止めてもらえていないんじゃないか?と思うのです。