20代で読んでおきたい成功の教科書

著 者:嶋田有孝
出版社:PHP研究所
出版日:2011年11月7日 第1版第1刷発行
評 価:☆☆☆(説明)

 著者の嶋田有孝さまから献本いただきました。感謝。

 著者は、「世の中には仕事に悩みや不安を抱えている方がとても多く、そういう方々に少しでも元気になってもらいたい」との思いから、若手のビジネスパーソン向けに、この本を書かれたそうだ。著者は私より3歳下、まぁ同年代と言わせてもらおう。私も、若い人たちに少しでも元気になってもらいたい。

 本書には、「ポジティブに生きていくためのものの見方、考え方」が、「プラス発想をしよう」「ストレスを乗り越えよう」など5章に分かれて、全部で40個紹介されている。それぞれに「下を向いて立ちすくんでいないで、前を向いて歩きだそうよ」という著者の励ましが滲む。

 その1つめは「事実の解釈を変えてみよう」。頬を縫うケガをした上司の例で、「悪い出来事だ。俺はついてない」と解釈するか、「少し上か下だったら、目か口をやられていた、俺はついている」と解釈するかの違いについて述べている。ケガをした「事実は変えられない」けれど、「解釈は自分で変えられる」というわけだ。
 ケガをしたのに「ついている」と思え、というのはかなり無理がある。同じように、プラスの意味に捉えるのが難しい出来事もたくさんあるでしょう?、と問いたいところだ。しかし、この問いへの著者の答えは明快だった「無理やりにでもプラスの解釈を考えてみる。それだけで十分」ということだった。そうした考えは、ほんの僅かかもしれないけれど、事態を良い方向へ進めると、私も思う。

 実はこの1つめの「事実の解釈を変えてみよう」は、その後の39個のほとんどに通じている。失敗した時に、失業した時に、悔しい目に会った時に、不満を感じた時に...それをどう解釈するか。また、心配ごとができた時に、目標が出来た時に、困難に直面した時に...どういう選択をするか。
 つまりは、1つの「事実」に対するアクションの「選択」の問題、ということだ。それは、それぞれの項目に付いているチャート図のほとんどが、「Aを選ぶかBを選ぶか」2つに分かれる図になっていることからも分かる。
 タイトルの「成功の教科書」や帯の「これであなたの将来は約束された!」という言葉はどうかと思うけれど、たくさんの方が本書を読んで、「要は選択の問題で、選択するのは自分なのだ」と気付いてくれれば、少し世の中が元気になると思う。

(2011.11.4 追記)
タイトルと帯の言葉は、出版社が決めたもので、著者の意思ではないそうです。そう言えば、「恋の六法全書」の著者の長嶺超輝さんのベストセラー「裁判官の爆笑お言葉集 」もタイトルが内容と合わないのですが、これも出版社が著者の意に反してつけたんだそうです。出版社の「売るための工夫」なんでしょうが、消費者を欺くようでいただけませんね。

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