20代で身につけたい質問力

著 者:清宮普美代
出版社:中経出版
出版日:2011年7月6日 第1刷発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 著者が代表を務める株式会社ラーニングデザインセンター様から献本いただきました。感謝。

 「20代」という若い世代、組織で「新入り」の世代がタイトルになっているので、一見すると「先輩(上司)に好かれる上手い質問の仕方」という「処世術」っぽいものを想像するが、本書はそういう本ではない。
 本書冒頭に曰く、質問力が高いと「人間関係がうまくいきます」「問題解決がうまくいきます」「人を動かすことができます」「自己成長につながります」と、本書が言う「質問力」という力は随分と強力なのだ。

 この主張には、裏打ちがある。著者は、世界で9人しかいない、日本人としては初めての世界アクションラーニング(AL)機構の認定マスターALコーチ。「アクションラーニング(AL)」とは、現実の問題に対処する過程で生じる行動などを通じて、個人や組織などの問題解決力を養う学習法のこと。
 そのALの特徴的で重要な要素が「質問」。つまり、著者は「質問」を問題解決力や組織力の向上につなげる第一人者。「処世術」レベルのHowTo本とは違って、もっと大きく高いゴールが設定されていて当然なのだ。

 全部で40項目ほどあるが、特に腑に落ちたのが「クローズ質問」と「オープン質問」について。例を挙げると、「プロジェクトは順調に進んでいるか?」は「クローズ」で、「どうすれば順調に進むだろうか?」は「オープン」。
 「クローズ」は、「はい」「いいえ」で答えられる→相手の自由な意見(アイデア)は出てこない。そして「順調に進んでるんだよな!」というニュアンスを含んでしまう→相手は押し付けられた感じがする、他人事に聞こえる。「オープン」はその逆。問題解決にはアイデアが必要だし、一緒に事に当たる姿勢も重要だから、「オープン質問」をうまく使いこなしたいところだ。

 さて、上の「オープン質問」は、ある程度上の立場でこそ役に立つ。このことから分かるとおり、本書は20代という世代限定の本ではない。私のように50歳に届きそうになっていても読むべきことは多い。タイトルに「20代」が謳ってあるのは「20代の人はチャンスです。若いうちはどんどん質問をしても許されます(「はじめに」より)」ということらしい。
 そう、年季が入ってくると聞けなくなることもある。「クローズ質問」が多くなる。自戒を得た本でもあった。

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2つのコメントが “20代で身につけたい質問力”にありました

  1. おでこのめがねで読書レビュー

    20代で身につけたい質問力 (清宮 普美代)

    「一番じゃなきゃだめですか?」 2010年度分の事業仕分けのとき、当時仕分け人を努めた蓮舫議員が次世代スーパーコンピュータの開発費をめぐる議論で言い放った質問である (正確には、「世界一になる理由は何かあるのでしょうか。2番ではダメでしょうか」と主張していたよ……

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