自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと

書影

著 者:四角大輔
出版社:サンクチュアリ出版
出版日:2012年7月25日 初版発行
評 価:☆☆(説明)

 出版社のサンクチュアリ出版さまから献本いただきました。感謝。

 著者は元音楽プロデューサー。現在はニュージーランドの原生林に囲まれた湖畔で奥様と暮らす。そこと東京を行き来した、企業のコンサルティングや、フィッシングやアウトドアの記事執筆や商品開発を行っている。帯によると、上智、慶應、立教などの大学でライフスタイルデザインの講義も行っているそうだ。

 そんな著者が、自由であり続けるために、本当に必要なモノだけを残す、20代であれもこれも捨てよう、と語りかける。例えば、「今使わないモノ」「衝動買い」を捨て、モノを増やさない。といった具合。

 読み終えて思うのは、著者と私は価値観が違う、ということだ。私は「自由であり続けたい」と思っているわけではない。家族や仕事や住んでいる街に束縛されながらも、幸せに暮らしたい。いや、束縛も幸せの要素なのかもしれない。それに、20代は色々と抱え込んだり、試してみたりする時で、捨てるのはもっと後でいいと思う。

 だから当然、著者が「捨てよう」と言っているものに疑問を感じる。例えば「バランス感覚」。苦手は克服しなくていい。もっと得意な人にお願いすればいい。その代り「世界一好きなこと」を一つ決めて、そのことに時間を投資する、と著者は言うのだけれど、そんなことがうまく行くとは思えない。

 「人脈」も「ライバル心」も捨てる。みんなと付き合う必要はない、では誰を大切にすればいいか?と言えば「自分を助けてくれた恩人」だけ。..私とはどうにも意見が合わない。これを20代の人に、だぶん上智や慶應や立教で教えているのだろうけれど、学生さんたちはどう受け止めているのだろう?

 とは言え、著者には圧倒的な強みがある。それは、著者がこれを実践してニュージーランドに移住して、今「自由だ」と自分で感じていることだ。百の意見より一つの実例の方が重い。著者はこの目標ために、何年もぶれることなく努力をしている。

 だから、もし若い人たちが、著者にあこがれ著者の後を追うのなら、この努力の部分までまるごと引き受ける覚悟が必要だ。例えば「苦手は克服しなくていい」ということを部分的に都合よく取り入れたって、痛い目に会うだけだろう。 

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