10分あれば書店に行きなさい

書影

著 者:齋藤孝
出版社:メディアファクトリー
出版日:2012年10月31日 初版第1刷 11月28日 第2刷発行
評 価:☆☆☆(説明)

 テレビでもお馴染みの著者。大学の先生らしい理性的なものでありながら、なかなか気の利いたコメントをされるので、私はけっこう好きだ。さらに、ものすごい数の著書があって、新聞の書評欄や広告、書店でもよく目にするのだけれど、著書を読むのはこれが初めて。

 本書での著者の主張はたった一つ「1日最低10分、必ず書店へ行こう」ということだ。本のタイトルとは少しニュアンスが違う。しかし、本書の中で著者自身の言葉でこう書いてある。

 「それはちょっとムリだろう」と思った方は多いだろう。私もそう思った。しかし、本書の内容を読むと「1日最低10分、必ず」に拘らずとも、「今より頻繁に、できるだけ多く」ということで、大部分はOK。その意味で、本のタイトルの方がうまく表現できているかもしれない。

 その理由は、まず書店は古今東西の「知」の集積だということ。そこは良い刺激を受ける「知的トレーニングの場」になり、潜在能力を引き出す「パワースポット」になり、心を落ち着かせる「癒しの空間」になる。(しかも行くだけならタダ)だからせっせと書店に行きなさい、ということだ。

 内容は、書店に顔を出すメリット、コーナー別の利用法、書店利用の裏ワザ、といったことが、とても丁寧な文章で書かれている。また、随所に著者のおススメの読書法がちりばめられていて、「なるほど」と思うことも多かった。

 第2章「書店はアイデアの宝庫」に、「私たち凡人の抱える問題が、人類史上初の難問ということはまずあり得ない」というくだりある。古今東西の叡智が集積した書店にはその解決のヒントがある、ということなんだけれど、これをそっくりの話が「夢をかなえるゾウ2」に登場する。(齋藤先生がガネーシャだったのかも(笑))

 気になったことを1つ。著者の興味は実用書・時事問題と古典に集中していて、現代の小説には関心が薄いようだ。ベストセラーを読むと「世の中を知ることができる」「人と話を合わせやすい」という、好意的とは言えない微妙なメリットしか認めていない。

 それは著者が「情報を得るもの」としての本を重視しているからだ。「パラッと読むだけでほぼ一冊全体を把握」「一冊を10分から15分でさばく」なんて読み方は、そうでなくてはできない。いや「情報を得るもの」と割り切ったとしても、この読み方には賛否あると思う。

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2つのコメントが “10分あれば書店に行きなさい”にありました

  1. 珠里

    できることなら毎日書店に行きたいです。書店はたくさん本があって、いろいろ見て廻るだけでも楽しいです。
    普段アマゾンで本を探しているのですが、書店に行くとまた違った本に出合えます。

  2. YO-SHI

    珠里さん、コメントありがとうございます。

    書店で、いろいろ見て廻るだけでも楽しい、という気持ち
    私にもよく分かります。
    周りを囲むたくさんの本を、一度に目にすることができる、
    というのは、アマゾンにはできないことですね。

    珠里さんのブログも拝見しました。
    本がお好きなんですね。ほぼ毎日の更新、スゴイです。

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