著 者:近藤史恵
出版社:東京創元社
出版日:2008年6月30日 初版
評 価:☆☆☆(説明)
「タルト・タタンの夢」の続編。舞台も登場人物もほぼ同じ。下町の商店街にある、三舟シェフをはじめとする4人の従業員が切り盛りするフレンチレストラン「ビストロ・パ・マル」を舞台に、お店の客が抱える悩みや問題を、三舟シェフが解き明かす。
本書は7編の短編を収める短編集。しっかり焼き込んだスキレット(分厚い鋳鉄のフライパン)が錆びてしまうのはなぜか?昔からあるパン屋が店じまいしてしまったのは?いつもブイヤベースを注文する女性の正体は?といった、「謎」とも言えない「どうしてだろう?」を解き明かす。
不満と嬉しさが半々だ。まず不満の方は、途中で物語の形式を変えたこと。前半の4編は、ギャルソンの高築くんが語るこれまでどおりの形式。後半3編は、謎を解かれる側の第三者が主人公。悩みや問題を抱えた主人公が「ビストロ・パ・マル」を訪れたり、三舟シェフに出会ったりする。
1回ぐらいは目先が変わって新鮮でいいのかもしれない。しかし第三者を主人公だと、最後の方に三舟シェフが登場して「はい解決」となってしまう。これではレストランの面々のキャラが生きてこない。
嬉しさの方は、三舟シェフの秘密が少しずつ明かされること。フランスの地方で修業したらしい、という以外には経歴が謎だったのだけれど、それが少し紹介される。おまけに今回は恋バナまである。さらには、前作で際立った存在感を見せた「ヴァン・ショー(スパイス入りホット赤ワイン)」の由来も明らかになる。
というわけで次巻に期待。
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「ヴァン・ショーをあなたに」 近藤史恵
「ヴァン・ショーをあなたに」を読みました。
近藤史恵さんの本は初めてです。
<ビストロ・パ・マル>は、三舟シェフと志村さん、ソムリエの金子さん、そしてギャルソンのぼく、の4人のスタッフがいるフレンチレストラン。
謎の来歴の三舟シェフが、お店にやってくるお客さんが持ち込む謎をあざやかに解いてしまうミステリ。
おいしそうな料理や、お店の人々の優しさがこの本の魅力です。
不可思議……