著 者:有川浩
出版社:幻冬舎
出版日:2014年8月10日 第1刷発行
評 価:☆☆☆☆(説明)
人気作家の有川浩さんの最新刊。幻冬舎創立20周年記念特別書下ろし作品、だそうだ。
舞台は「あしたの家」という名の児童養護施設。90人の子供たちが暮らしている。主な登場人物は、新任職員の三田村慎平、3年目の和泉和江、高校2年生の谷村奏子と平田久志の4人。主人公を切り替えながら物語は進んでいく。
90人も子どもが暮らしていれば、問題行動を起こす子もいる。しかし奏子と久志の2人は、ルールを守り、年下の子供たちの面倒をよく見て、職員や施設の運営にも協力的だ。いわゆる「問題のない子」
もちろん「問題がない」のは、施設運営上で問題がない、言い換えれば「都合がいい」ということで、彼らが問題を抱えていないわけではない。そうでなければ児童養護施設に入所する必要なないのだから。
物語は、たくさんの対立や苦い経験などを描き出しながら、大きなうねりを形作っていく。子供たちは大人をよく見て、それ故の反発もある。職員の間には意見の相違もある。世間の認識と実際とのズレも大きい。
ラブストーリーあり自衛隊ありカッコいいおっさん(おばさんも!)あり。有川作品らしいところがたくさんあるのだけれど、今回はそれがメインではない。(それがまた「らしい」というヤヤこしい構造なのだけれど)
児童養護施設に入所している子供たちは「かわいそう」、もしそう思っている人がいたら、ちょっと本書を読んでみてほしい。それが著者の希望のようだから。「図書館内乱」など著者の他の作品でも時々でも描かれるけれど、「間違った善意」は「悪意」よりもたちが悪いことがある。
先ごろ、高校野球の選手が中学生の時に書いた作文がネットで話題になった。本書を貫くテーマと通じるものがあると思う。
コンプリート継続中!(アンソロジー以外の書籍化された作品)
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本屋で表紙だけ眺めて我慢しています(笑)。図書館で借りて読むか思案中です。早く読みたいのはやまやまですが、ハードカバーはなかなか勇気がいるもので。日本ブログ村1位ってすごいですね!実は私もお世話になってます。最近サボってたから、いい刺激になりました。よかったら覗いてやってください。
けろろさん、コメントありがとうございます。
うろ覚えですが、確か有川さんのラブストーリーが「どストライク」と
おっしゃってたような...(違ってたらゴメンナサイ)
そうであれば、有川作品らしいところがたくさんあるこの本も、きっと
気に入ると思いますよ。
ブログ拝見しました。復活を期待して、時々覗かせてもらいます。
明日の子供たち
例えば、アナタが太っていて、独身で、ハゲているとする。それでも、自分なりにノビノビと生活しているとする。
そんなアナタに、誰かが「太っていかわいそう」「独身なんて気の毒 ……