著 者:田中正博
出版社:ライブドアパブリッシング
出版日:2008年7月3日初版発行
評 価:☆☆☆(説明)
「本が好き!」プロジェクトで献本いただきました。感謝。
著者は、「おまかせホットライン」という保険代理店を創業し、ちょっと長めのサブタイトル「なぜ私は営業マン0人で営業利益1億円を稼げたのか?」のとおり、驚異的な利益を稼ぎ出している経営者。そのセールス手法を余すところなく公開したものが本書。
書いてある内容は至ってシンプル。シンプルという言葉は英語では必ずしもほめ言葉ではないらしいが(つまらない、無知な、という意味もある)、私が意味しているのは「単純」であり、だから「わかりやすい」ということ。さらに言えば、読んだ人が実践しやすいし、応用も効く。ノウハウ本としてはすごく大事なことだと思う。
著者の主張をひとことで言ってしまうと「売らずに、売れる」ようにする、である。そのための方程式があって、それは「(商品を魅力的に見せる)×(それを欲しいと思う人を探す)×(目の前にそっと置く)」だ。なんだか、当たり前すぎて拍子抜けしてしまいそうだけど、本書の素晴らしいところは、これを実践するための電話の掛け方と、DMの作り方と送り方が紹介されている点だ。それも、その手法は著者の会社で効果が実証済みときている。セールスに関わる方には一読の価値があると思う。
電話とDMと言えば、どこから情報を仕入れるのか、頼んでもいない様々なDMが届き、家にいると「この度、大変オトクな○○が発売され….」という電話セールスに辟易する。そんな経験をお持ちの方が多いのでは?本書では、このテのセールス手法を「間違い」と言って切り捨てている。電話でセールスするのも、DMが届いた頃に電話フォローするのも、ああ言えばこう言う式の食い下がりも、きれいなデザインのDM封筒も、あれもこれも間違い。
詳細は本書に譲るとして、1つだけ有益なヒントを。それは、著者のオリジナルではなく、ホイラーという経営学者の考えだそうですが、[YOU]能力というもの。つまり相手側に立つ能力、お客の目を通して自分の商品を見る能力、が大事だということ。上に書いた電話セールスやDMが好きな人は少ない。ということは、これらの手法は[YOU]能力に欠けていることは明らかなわけだ。
最後に、タイトルの「36倍売れた!…」は、著者の会社のDMの成約率が11.56%で、これをDMの世界で言われる「センミツ(千三つ)」、つまり1,000に3つぐらいしかレスポンスがない、の0.3%と比較して36倍というわけ。
そして、サブタイトルの「営業利益1億円…」だけど、どういう期間の金額なのかこのレビューに書こうとして、ザッと読み返したけれど、書いてある場所が見つけられなかった。それで、色々探していてあるものを見つけた。月刊アントレの6月号に「創業わずか2年で年商1億円」という記事。そして、本書の著者紹介には「創業2年半で営業利益1億円」。きっとチャンとした説明はあると思いますが、なんだか不思議な数字。
人気ブログランキング「本・読書」ページへ
にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
(たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)