著 者:村上春樹
出版社:新潮社
出版日:2002年9月10日発行 9月20日2刷
評 価:☆☆☆☆(説明)
1999年「スプートニクの恋人」以来の長篇書き下ろし。
期待を裏切ることなく、村上作品独特のつかみどころのない世界が広がる。灰色の海と灰色の空の境界があいまいなように、夢なのか現実なのか、その境界が見えない浮遊感がただよう。 「僕」と「ナカタさん」の2つの物語が同時に進行し、最後に折り重なる手法も馴染み深い。
しかし、今回の物語は底が浅いように感じた。まるで、誰かが村上春樹のスタイルを真似て書いたような、しっくりこない感じがする。少年の家出やその他の人の行動に必然性がない。偶然や都合よく現れる登場人物(猫もいた)の導きの繰り返しで、物語が進行する。まるで、ロールプレイングゲームのように。
それでも、「どうやったらこういう人物を思いつくのか」と思うような、独特の登場人物と設定など、軽めな村上作品を楽しみたい人には良いと思う。
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