オンデマンド IBM eServerの奇跡

著 者:岩山知三郎
出版社:コンピュータ・エージ社
出版日:2003年1月20日初版
評 価:☆☆(説明)

 1990年代初めに、かつてはコンピュータ業界の巨人と呼ばれたIBMは、その巨体故にか、オープン化の動きをつかみ損ねて苦境に陥る。ルー・ガースナーが1993年にCEOに就任し、その後奇跡的な復活を遂げる。本書は、その復活劇と「全てのコンピュータがオープンスタンダードに向かう」という視点の下に、コンピュータ創生期からの歴史を綴ったもの。
 前半部は1960年~70年、情報技術の進展の速さを考えれば、本当に歴史になってしまった話だ。相当に退屈。ここで挫折してしまう読者も多いだろう。後半部に期待して何とか続きを読んだ。
 後半部はオープンスタンダードに向かう激動の時代の記録。この本は多分にIBM賛歌であろうから、話半分にするとしても、これだけ革新的な動きを成し遂げたIBMに対して、国内ベンダーは何か手を打ったのだろうか?
 私の知っているオープンの概念は、「デファクトスタンダード」を市場が採用することだった。しかし、IBMの成功は、「オープンスタンダード」の推進にあった。「デファクトスタンダード」が、標準争いの勝者に与えられる「事実上の標準」(単なる多数派ということもできる)なのに対し、「オープンスタンダード」は、真にベンダーやプラットフォームを越えた相互利用が可能なのである。
 キーワード:ネットワークの外部性

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