著 者:村上春樹
出版社:講談社
出版日:2004年9月7日初版
評 価:☆☆☆(説明)
都会の一晩の出来事を描いた、村上春樹の中篇作品。
村上春樹らしいと言えば良いのかもしれないが、つかみどころのない作品。物語は何かの予感を持ちながら(例えば、新しい恋とか、殺人やその他の犯罪とか)進んで行く。しかし、何かに向かっている様子はない。予感は、何にも結実しないで予感のまま終わる。
登場人物は多彩。主人公は、美貌の姉を持ち、その陰で自信を持てずに外国語大学に通う女子大生。その姉は、2ヶ月も眠り続けている。その他に、元女子プロレスラーのホテルのマネージャー、誰かに追われている従業員、売春組織の中国マフィア、その売春婦を殴って身ぐるみ剥いだシステムエンジニア、そして主人公の相手役のバンドマン。全員が深夜から明け方の時間の住人だ。
それぞれの登場人物に物語があり、それが交錯しながら展開するのだが、全ての話は宙に浮いたまま終わる。「朝が来たからこれで終わり」とでも言うように。一晩だけの出来事だから、何かの結末を迎えるのはムリなのかもしれないけれど、こんな何もかも宙ぶらりんでいいのか。
これは、村上春樹が紡ぐ物語の断片なのではないか?これと同じが似た設定で、長篇が書かれるのではないか?こんな期待は甘すぎるだろうか。
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