天使と悪魔(上)(下)

著 者:ダン・ブラウン(訳:越前敏弥)
出版社:角川書店
出版日:2003年10月30日初版 2004年11月30日第16版(上)、7月5日第5版(下)
評 価:☆☆☆☆(説明)

 ダ・ヴィンチ・コードの作者による、謎解きスリラー。アメリカの象徴学者ロバート・ラングドンが活躍するシリーズの第1弾。つまり、ダ・ヴィンチ・コードより前の作品ということになる。
 シリーズ物だから仕方ないのかもしれないが、父や祖父を殺された女性とともに、キリスト教に関する謎解きをしながら、絶体絶命の危機を切り抜けていく、その背後には秘密結社や殺し屋、というストーリーは2つの作品であまりに酷似している。作者のスタイルと言えばそれまでだし、面白ければ問題ないとも言える。とは言え、3作目、4作目と続けるのは難しいだろう。
 そして、2作目までは大変に面白い。だから問題なしとしておこう。本書では、24時間というタイムリミットの存在と、失敗した場合には1つの国が破滅するという危機感のためか、ダ・ヴィンチ・コードより面白く読めた。
 ダ・ヴィンチ・コードの成功までは、著者は全くの無名であったことを思えば、本書が日本語訳されて読むことができたのは運が良いと言える。2作目を著者が出さなかったら、目に触れることもなかったのだから。

 このシリーズの面白さは、考古学上の事実や新発見とフィクションをうまく織り交ぜることで、その境界上での知的な遊びを創造していることにもある。小説の中であげられる数々の指摘は、もしかしたら真実なのかも、と思わせる説得力があり、好奇心をくすぐる。巻末にある謝辞を見ると、著者が丹念な取材をしたことが垣間見える。

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3つのコメントが “天使と悪魔(上)(下)”にありました

  1. マロンカフェ 〜のんびり読書〜

    ダン・ブラウン 天使と悪魔 訳 越前敏弥

    天使と悪魔 (角川文庫) (2006/06/08) ダン・ブラウン 越前敏弥 各620円 商品詳細を見るハーヴァード大の図像学者ラングドンはスイスの科学研究所長から電話を受け、ある紋章についての説明を求められる。それは十七世紀にガリレオが創設した科学者たちの秘密結社“イルミナティ”の伝説の紋章だった。紋章は男の死体の胸に焼印として押されていたのだという。殺された男は、最近極秘のうちに大量反物質の生成に成功した科学者だった。反物質はすでに殺人者に盗まれ、密かにヴァチカンに持込まれていた―。(「BOOK…

  2. 板栗香

    おはようございます♪コメント&TBありがとうございました。TBを何度か送ってみたのですが、エラーになってしまうようです。orz また後で挑戦してみますね。(^^;

    私は初ダン・ブラウン作品だったのですけども、とても面白く読むことが出来ました。ちょっとご都合主義的な所やラングドンがスーパーマンすぎる所とか気になる所はあったんですけども、エンタメと割りきって読めば楽しめたかなぁと。(^^ゞ
    それよりもキリスト教や美術、歴史の薀蓄雑学が非常に興味深くて、イルミナティの古の啓示の道の目印となった4つの教会を探し出すために、彫刻・詩・天使などから謎を推理していく所とかとても面白かったです。タイムリミットがあったのもハラハラドキドキして読むのがやめられませんでした。(^^ゞ

  3. YO-SHI

    板栗香さん、コメントありがとうございます。

    TBの件ですが、板栗香さんからのTBがスパム扱いされてました。ゴメンナサイ。
    ココログでは、TBとコメントにスパムフィルターが付いていて、時々こういう
    失礼な扱いをしてしまうことがあるようです。

    この本は面白かったですよねぇ。ご都合主義もスーパーマン振りも面白いから
    許そう、って感じでした。ダ・ヴィンチ・コードよりずっと面白いと思います。
     

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