ダークホルムの闇の君(上)(下)

著 者:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 訳:浅羽莢子
出版社:東京創元社
出版日:2006年7月28日初版
評 価:☆☆☆(説明)

 舞台は、魔法使いたちが住む世界。大学や様々な国があり、エルフやドワーフ、グリフィンなどの様々な人種や生き物、もちろん神と悪魔、ドラゴンまで登場する。ファンタジーの王道と言うか、これだけ聞くとちょっと型にぎゅうぎゅうに押し込めたような感じがするが、本書はそうではない。

 ファンタジーらしくないことが1つ。この世界の住人達は、もちろん本当に魔法使いやエルフなのだけれど、同時にそれらを演じさせられてもいること。別の世界の観光会社との契約によって、観光客相手に魔法の世界を大がかりに演じて見せているのだ。
 善と悪の軍団の戦いとか、人々を惑わす魔女とかを巨大なテーマパークのように、年に100回以上も繰り返しやっているわけ。そして、観光客らの手で魔王を倒して、旅行クライマックスを迎え、自分たちの世界へ帰っていく。倒される魔王が「闇の君」で、本書の主人公の魔法使いダーク。
 毎年、闇の君に選ばれた者が、観光会社との契約に従ってすべてを手配しなくてはならない。家族の助けを得て準備に取り掛かるが、次々と難題が降りかかる、というストーリー。

魔法世界の人々が、魔法世界を演じるという設定もひねりがあるし、それなりの伏線や誤解や裏切り、家族愛など、ドラマがちりばめられていて面白い。しかし、少しばかり冗長というか、エピソードが多すぎるような気がする。上下巻でなく、1冊分ぐらいに凝縮すればよかったかも、と。
 一般的に「悪」の側の、ドラゴンや悪魔が登場する時には、緊張感が漂う。ところが、彼らは大きくストーリーに絡んでこないのはなぜ?まぁ、これ以上、ストーリーを混ぜっ返すのはどうかと思うけれど、悪魔やドラゴンにはそれなりの役回りがあるように思う。

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