図書館戦争

著 者:有川浩
出版社:メディアワークス
出版日:2006年3月5日初版 8月30日6版
評 価:☆☆☆☆(説明)

 第4回本屋大賞(4月5日発表)の5位。「図書館」と「戦争」という、関係性の薄い2つの言葉の組み合わせのタイトルが目を惹く。

 時代は正化31年という架空の年。しかし、昭和の後だということなので、まぁ平成31年。昭和の終わりごろに分かれた別の時空で、今から10年あまり後ということか。
 物語の時空では、昭和の最後の年にメディア良化法という、公序良俗に反するメディアを取り締まる法律が成立している。これによって、国家が不可とする本を、国家権力の元で実力で排除することができる世の中になってしまっている。
 図書館は、その国家の検閲に抗して、市民が自由に本を閲覧する権利を守るために警備隊を持つに至る。銃器による抗争も起きている。それが「図書館戦争」

 荒唐無稽な設定と言って差し支えないだろう。しかし、このムリめな設定に、冒頭の1ページで読者をグイと引き込む。「念願の図書館に採用されて、私は今_ 毎日軍事訓練に励んでいます。」
 主人公は、図書館の新人女性兵士。先の言葉は、彼女が両親に宛てた手紙の1文だ。本書は、主人公が上官や同僚に囲まれ、励まされながら成長していく成長物語。そういう意味ではありがちな展開なのだが、中に収まっているエピソードは、本書の設定以上に「あり得ない」ものが多い。
 しかし、物語にスピード感があるせいか、読むのが楽しかった。「あり得なく」ったってそれが何だ?これは無いでしょう、というのが逆に心地いい、そんな気分になる。エンタテイメント性が光る1冊だ。

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