著 者:森見登美彦
出版社:角川書店
出版日:2006年11月30日初版 2007年4月5日7版
評 価:☆☆☆☆(説明)
1人の大学生が後輩の女の子に恋こがれて、独り相撲の遠回りの末に彼女に近づいていく様を、彼と彼女の2つの視点からコミカルに描いていく。しかし、普通の青春恋愛小説ではない。「感動」ともほとんど無縁、彼も彼女も他の登場人物も、とても変なのだ。
正直に言って、読み始めは戸惑った。淡々とした語り口で次々と繰り出される「ありえない話」の数々に。樋口さんは、フワフワと空中に浮かび、口から鯉のぼりを吐き出す。李白さんは、先斗町の通りを三階建ての電車に乗ってやって来る。電車の屋上には古池や竹林がある。おとぎ話にしては俗っぽすぎるし、ちょっとついていけない。
ふと思いついたのは「銀河鉄道の夜」。ジャンルも方向性も全く違うが、夢の中の出来事のような予想外の事が淡々と語られる。
しかし、章を追うごとに加速するテンポの良い展開に、ドンドン引き込まれて行き、面白くなってくる。第三章あたりではすっかりはまり込んでしまった。
「先斗町」でお気付きかもしれないが、舞台は京都の街。先斗町や木屋町などの繁華街、下賀茂神社に糺の森など、京都の街を知っている人にはお馴染みの地名が出てきて楽しめるだろう。そして第三章の舞台は京都大学の学園祭だ。これには参った。なぜなら私の母校だから。第三章ではまり込んだのは、そのせいもあるのだろう。
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確かに京都関係者にはたまらない小説ですよね。
元図書館司書さん、コメントありがとうございます。
そうです。京都関係者にはたまりませんでした。
特に京都の東半分に馴染みのある人には、グッとくる
ものがあると思います。
もちろん、フワフワした得体のしれない森見ワールドが
性にあう人は、京都の地名が分からなくてもOKですが。
夜は短し歩けよ乙女 / 森見登美彦
今さらながら、「夜は短し歩けよ乙女」。この作品は、第20回山本周五郎賞受賞、第137回直木賞候補、2007年本屋大賞第2位、と話題だったのになぜか読んでなかった。というかモリミーのこと、当時は気にしてなかったのよね…。たまたま有川さん狙いで読んだアンソロジー「Swe……
YO-SHIさん こんばんは。
楽しかったですね~。
私はもしかしたら、腐れ大学生が好きなのかもしれません(笑)
(あっ、今だから愛すべきキャラと思えるのだと思います。)
大学生だからこそ、あんな変な方向にいっちゃうんだろうな…と。
京都の町が舞台というのもいいですね。
たかこさん、コメントありがとうございます。
腐れ大学生に理解がありますねぇ。元腐れ大学生としては
とてもうれしいです(笑)
まぁ私は、このぐらいの「腐れ加減」がちょうどいいです。
もうちょっと腐ってくると、行間から臭ってきそうで..
例えば「四畳半神話大系」なんかは、かなり危ないです。
「夜は短し歩けよ乙女」 森見登美彦
夜は短し歩けよ乙女 森見登美彦
「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に…
こんにちは。
面白い本でしたね(笑)
肩肘はらずに読み終えることが出来ました。
独特の世界がこの物語にはあるのでしょうが
深いところまであたし自身気づいたのかどうかは謎かも(^^;)
igaigaさん、コメントありがとうございます。
「深いところ」ですか?あるのでしょうか?
他の作品とのリンクがあったりはしますが、私には、
ただオモチロイことを書いただけのように見えます(笑)
ただ、この本は森見さんにとっては「長女」なんですって
初めての女の子ということなので、それまでの他の作品とは
何か違う想いがあるのでしょうね。
参考:森見さんのブログ
「この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ」
http://d.hatena.ne.jp/Tomio/