著 者:劇団ひとり
出版社:幻冬舎
出版日:2008年8月10日初版 2008年8月24日第4刷
評 価:☆☆☆(説明)
お笑い芸人の本だからと言って侮ってはいけない。この本は連作短編集としてよく練られている。ホームレスの人が放つ「自由の匂い」に魅かれて、試しに新宿の公園で暮らし始めた会社員を主人公とした「道草」など、5つの短編からなる。
「よく練られた」とした理由は2つある。1つは、短編のそれぞれにちゃんとオチがあることだ。どんなオチかを言ってしまうわけにはいかないが、あっさりした品のあるオチだ。落語や漫才のオチに通じると感じたのは、著者の職業を知っているための先入観かもしれない。
もう1つは、連作短編集として、5つの短編の各々が緩やかにつながっていることだ。ある短編の登場人物やエピソードが、別の短編でひょっこり顔を出す。1人称の視点が違うため、同じエピソードが全く違う形で語られる。何人もの人物をひとりで演じ分ける「劇団ひとり」ならではだ。と、これはちょっとウガった見方過ぎるか?(そう言えば、もう長い間、この人のそんな芸をテレビで見ないけれど)
ただ、気になって仕方がないことがある。「見れていない」「届けれる」「つけれない」「借りれる」。本書の中に登場する言葉だが、これらは私の認識では「ら抜き言葉」で、文法上誤りとされている。
私自身、他の人を批判できるほど正確な日本語を使っているわけではないし、「ら抜き」が言葉の「誤り」なのか「変化・進化」なのか、見解の相違や議論があることは認める。けれども私は、出版物は言語の用法については保守的であることを望むので、大変な違和感を持った。これは、出版社の校正で良としたのか、見逃したのか、作家の原稿を尊重したのか?
さっと読めるし、話題になった本だから機会があれば読んで見るといいと思う。先ほど「よく練られている」と言った。でも、そんなに面白くはなかった。オチにつながるミスリードなどの、色々な工夫がどういうわけかあざとく感じられて、私自身も戸惑った。「なんて意地悪な読み方なんだろう」って。
ここで、再び「先入観」の話。先入観から自由ではいられない。だから、私は「ら抜き言葉」を連発する著者を低く見て、その結果、意地悪な目で読んでしまったのかもしれない。なにしろ最初の「ら抜き」は、本文2ページ目に登場する。
しかし、この本が良く売れたのも、著者の有名度と「お笑い芸人が書いた小説にしては..」という、先入観が私の場合とは違った向きに作用した結果かもしれない。
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(たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)
ご訪問ありがとうございました。
こういうちゃんとした書評を読むと、一言感想の自分のブログもなんとかしないとなぁと反省します。。。
また来ますっっ[E:happy01]
陰日向に咲く (幻冬舎文庫 け 3-1)
書評リンク – 陰日向に咲く (幻冬舎文庫 け 3-1)
こんにちは。センバツ事務局のナオと申します。
突然のご連絡で失礼いたします。
有力ブロガーの皆様にメッセージを送らさせて頂いております。
新サービス「センバツ( http://www.1000buzz.jp/ )」のご紹介です。
既にご存知の方にお届けしている場合は申し訳ございません。
ブログ審査の依頼はこちらから
http://www.1000buzz.jp/common_link.aspx?action=fwd&af=20002
~ 以下、省略 ~
コメントありがとうございました。
色々&沢山の本を読んでおられるんですね。
今後の読書の参考にまたちょくちょく覗きに参ります。
ぱぱぱぐさん、コメントありがとうございました。
一言の感想でも伝わることはありますよ。
ぱぱぱぐさんのブログの感想を読んで、私はビデオを
借りようかなって思いましたよ。
—-
センバツ事務局のナオさん、コメントありがとうございました。
たいへん申し訳ないのですが、この記事には直接関係ないので
私への私信だと判断して、大幅にメッセージを省略させて
いただきました。
いただいたお話については、よく考えさせていただきます。
—-
たまゑさん、コメントありがとうございました。
我ながら、手当たり次第の乱読にはあきれることがあります。
本書については、意見が合いましたね。
これからも、よろしくお願いします。
先日はコメントをありがとうございました。
YO-SHIさんの書評を読んで、私ももっと1冊1冊の本とちゃんと向き合ってブログに残さないといけないな~、と反省しました[E:coldsweats02]
また遊びに来ます[E:confident]
みうさん、コメントありがとうございます。
「私ももっと1冊1冊の本とちゃんと向き合って」なんて言われる
のはもったいないです。手当たり次第の乱読ですから...
私はみうさんより一回り以上、年上です。まだ「残りの人生」
を考える年ではさすがにありませんが、時間が惜しい、とは思う
ようになりました。
ある時、時間をかけて読んだ本のこともキレイサッパリ忘れて
しまっていることに気づいて、ものすごく惜しい気がしたんです。
それで、ノートに感想を書くようにしたのが、このブログに
つながっています。
『陰日向に咲く』 劇団ひとり
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いやー、ミーハーな私としては、やはり読んでしまいました、この作品。
予想以上に面白かった!!!
もっと早く読めばよかったなー。
連作短編って好きなんですが、きちんと技あり!でした。
この人、いっぱい書けばいいな。
すごくいっぱいの作品を書き続けたら、なんか大変なものが
できちゃいそう。
すごく将来が楽しみな人だなーと、久しぶりにわくわくしました。
これは売れるのもあたりまえ。
ちょっと手放せない一冊です。
そして、これから読…
こんにちは!
TBさせていただきました。
私も、同じことが気になりましたよ「ら抜き」。
他の作家は気にならないのに、なんででしょうね。
やはり「ら抜き」の量が極端に多い気がします。
物語自体は面白いのに、もったいなーいと
思ってしまいました!
sakura-kanadeさん、コメントありがとうございました。
物語自体は面白いのにもったいない、まさにその通りです。
レビューの本文にも書きましたが、こういうのって、
校正で直せなかったんでしょうか?
それにしても、おんなじように感じている人が一人でもいて
良かったぁ。周りの人に何人か聞いたんですが、全然気に
ならなかったみたいなんですよ。
え!「ら抜き」、みんな気にしてると思っていました。
私も周りの人に聞いてみよーっと!
コメントありがとうございました。
また違った切り口の感想で新鮮です。
他にも色々と私の知らない本の感想が載ってるので参考にさせて頂きますね。
また遊びに来ます。
ゴンゾウさん、コメントありがとうございます。
ゴンゾウさんも、本がお好きなようですね。
もし、同じ本を読まれたなら、古い記事でも
かまいませんから、コメントを寄せていただけると
うれしいです。
YO-SHIさん
ありがとうございます。
沢山読まれてるんですね。しかも、ハードカバー系が多い。
私は文庫本メインです(持ち運びしやすいので)。
少しだけ読んだ本がありました。
また時間を見つけてコメントさせて頂きます。
【読了】陰日向に咲く
陰日向に咲く
劇団ひとり‖著
幻冬舎, 2006. − 220P ; 20
朝、行きの電車で読みだし、昼休み、帰り、帰ってからの4回で読み終えました。
文字が大きいのと、お話が絡まる感じが伊坂作品のようで面白かったです。
文体は伊坂に比べると砕けた感じで、同じようなプロットでもココまで感じ方が違うんだ
なぁとちょっと感心しました。
読了後、画用紙に書いてみた【相関図】はこんな感じ。大体合ってるかな?
【陰日向 相関図】で検索すると同じように相関図が書きたくなるという人が多かったです。
そこで…
コメントありがとうございます。
他人の感想って非常に参考になりますね。
リンク貼って頂いてありがとうございました。
明石の図書館さん、コメントありがとうございます。
他の人の感想ってタメになるし面白いですよね。
同じ本を読んでるってだけで、何となく親近感も湧くし。
今後ともよろしくお願いします。