魔法泥棒

著 者:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 訳:原島文世
出版社:東京創元社
出版日:2009年8月28日 初版
評 価:☆☆☆☆(説明)

 「本が好き!」プロジェクトで献本いただきました。感謝。

 またまたジョーンズ作品。これは、1992年の作品。訳者あとがきによれば、ジョーンズが20年以上の歳月を経て、再び大人を読者対象とする長編に挑戦したものだそうだ。児童文学に分類されているとは言え、捻りの効いた展開と辛口のユーモアが持ち味の著者の作品の中で、本書は比較的素直な部類だ。では「大人向き」とされる理由は?

 物語は主に「地球」と「アルス」という場所の2つの舞台で進行する。地球では「裁定評議会」と呼ばれる魔法使いたちが、世界の安定を保っている。アルスは「五国」と呼ばれる並行世界の1つに浮かぶ要塞都市のようなものらしい。そこでは、地球を含めた異世界の監視と、五国の若者の訓練が行われている。
 そして、アルスが地球の科学技術を盗み取っているらしいと気が付いた裁定評議会は、選りすぐりの魔法使いたちをアルスに送り込む。アルスにいるのが男ばかり(後で判明するのだが、訓練中のため禁欲を強いられている)だと知った評議会が送り込んだその襲撃部隊は..この辺りが「大人向け」の所以だ。

 物語の展開が巧みなのはもちろん、並行世界が地球の科学技術を盗むに至る着想が面白い。いわゆる主人公とされる1人の登場人物はなく、地球とアルスを合わせて10人ほどが次々と役割を演じていく。混乱が予想されるところだが、性格付けなどがしっかりしているので、読み進める内にそんな心配はなくなる。「大人向け」ということを考慮して、ちょっと背伸びしたハイティーンぐらいからならいいかなと思う。

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5つのコメントが “魔法泥棒”にありました

  1. YO-SHI

    ジョンさん、コメントありがとうございました。

    ジョンさんのブログ「本のソムリエ」も拝見しました。
    熱心さが伝わってくる良いレビューだと思います。

    私は、アドバイスができるような立場ではないですが、
    せっかくの機会なので、自分が考えてきたことを2つ。
    長く続けるためには、自分に合うペースを知ってそれを
    守ることが必要。ムリもいけないし、サボリもいけない。
    それから、見てくださる方を大事にすること。

    こんな感じです。
     

  2. YO-SHI

    konnokさん、コメントありがとうございます。

    よろしくお願いします。
    同じ本を読んでいたら、感想などを教えてもらえると
    うれしいです。

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