フォーリン・アフェアーズ リポート 2010年5月号

書影

編  集:フォーリン・アフェアーズ・ジャパン
発  行:フォーリン・アフェアーズ・ジャパン
出版日:2010年5月10日 発売 
評 価:☆☆☆(説明)

 R+(レビュープラス)様にて献本いただきました。感謝。

 本誌は、米外交問題評議会(CFR:The Council on Foreign Relations)が発行する国際政治経済ジャーナルの日本語版。CFRは非営利の外交問題のシンクタンクで、米国内でどのような位置付けにある組織・雑誌であるのか私は分からないのだが、日本語の公式サイトを見ると、米国の政治経済のリーダーたちがボードメンバーになっている。表紙ウラに本誌について書かれている「最も影響力がある(#1 IN INFLUENCE)」という言葉も誇張ではないのだろう。

 掲載されている記事は、例えば「アジアの大学は世界のトップを目指す」とか「ソ連崩壊20年、冷戦を再検証する」「暫定合意でパレスチナ国家の樹立を」といった論文や、「欧米経済ブロックの形成を」とか「温暖化対策の切り札としての地球工学オプション」といった座談やインタビュー記事。執筆人は、大学の学長や教授、元大使や国家安全保障会議の元メンバーなど、錚々たるエスタブリッシュメントばかりだ。
 そしてその内容は、とにかく「硬い話」ばかりだ。巻末のクイズとかクロスワードとかいった、読者に媚を売るようなものはない、広告さえない。つまり本誌が対象とする読者は、本誌に対してそんな息抜きは求めていないということだ、100%ビジネスモード。政治やグローバルビジネスに直接関わるような人々に向けられた雑誌だ。

 個々の記事の内容については、高度に専門的で私が論評できるようなものではなく「とても勉強になった」としか言えないので、通して読み終えた感想を述べさせてもらう。それは、アメリカという国は、自らにどんなに大きな使命または期待を持たせようとしているのか?ということ。
 本誌が外交の専門誌だから、グローバルに話題が広がっているのは当然なのだが、そのにしても世界の隅々まで目を光らせ、紛争は起きていないか、人権は侵害されていないかと関心を持つ姿はやはり特別だ。例えば「世界は人権侵害であふれている」という論文では、「オバマ大統領は、独裁化を強めるルワンダやエチオピアに、統治を改めるように一貫して働きかけていない」と批判している。日本の首相にそのような批判を投げかける人もいなければ、首相の側にも受ける準備もないだろう。

興味がある方は、日本語のサイトで記事の立ち読みができるのでご覧になるといいだろう。
「FOREIGN AFFAIRS JAPAN」 http://www.foreignaffairsj.co.jp/

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フォーリン・アフェアーズ リポート 2010年5月号”についてのコメント(1)

  1. 本の宇宙(そら) [風と雲の郷 貴賓館]

    フォーリン・アフェアーズ リポート 2010 No.5

     アメリカの外交問題評議会(CFR:Council on Foreign Relations)が発行する 「フォーリン・アフェアーズ (Foreign Affairs) 」といえば、世界的な影響力を持つ外交・国際政治専門誌として知られているが、これに掲載された論文だけでなく掲載されていないCFRペーパー(リ……

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