王国の鍵4 戦場の木曜日

著 者:ガース・ニクス 訳:原田勝
出版社:主婦の友社
出版日:2010年4月30日 第1刷発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 月曜日から始まって日曜日に終わる7冊シリーズの4冊目の木曜日。ちょうど折り返し地点になる。サーズデーは「大迷路」の管財人。そして彼は、世界の中心に位置すると言われている「ハウス」の軍隊を指揮する司令官でもある。大迷路は「無の虚空」と山脈を挟んで接していて、無から生まれる化け物である「ニスリング」の侵攻をくい止めていた。今回アーサーは、大迷路でのニスリング軍との戦争に巻き込まれる。

 それだけではない、前号のエンディングで仄めかされていた通り、アーサーが元いた世界つまり地球には、アーサーの偽者が送り込まれていて、神経を侵す菌をバラ撒いて地球を破滅させようとしている。今回はこれまでとは違って、ハウス内のアーサーの活躍と、地球に戻ったリーフの奮闘の2つのストーリーが並行して進む、より緊迫感が増した展開だ。

 「これまでとは違う」という意味では、今回は新たな敵がアーサーに立ちふさがる。もちろん、サーズデーとも相対する必要があるのだが、真の敵は別にいるようだ、ということが判明する。これまでは、マンデーから始まって、徐々に強くなっていくボスキャラと順に戦い、サンデーがラスボス、という図式が見えていたが、そうではなかった。この記事の冒頭で、「中間地点」という意味で「折り返し地点」と書いたが、物語の展開上も今回はまさに「ターニングポイント」になっている。

 「訳者あとがき」にて重要な情報が公開されていた。7人の管財人は「怠惰」「強欲」「暴食」「憤怒」「色欲」「嫉妬」「傲慢」の、キリスト教の七つの大罪をモチーフにしていると考えられることだ。今回のサーズデーが体現する罪は「憤怒」、次号のレディ・フライデーは「色欲」だ。

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