鹿男あをによし

著 者:万城目学
出版社:幻冬舎
出版日:2007年4月10日 第1刷 5月2日 第4刷
評 価:☆☆☆☆(説明)

 好きな作家は?という質問に、他の作家さんとともに著者の名前を挙げているのに、テレビドラマにもなって著者の出世作、代表作である本書をまだ読んでいなかった。先日、図書館に行った折りに、本棚にあるこの本の赤と黒の文字の背表紙が目の端に留まった。時々こういうことがあるのだが「本に呼ばれた」という感じ。「あんた、俺をまだ読んでないでしょ!」って。

 物語の舞台は奈良。主人公は「おれ」。大学の研究室にいたが、訳あって奈良女学館という女子高の理科の教師として二学期だけという短期間赴任した28歳。胃腸に弱点があり、不安や緊張が高まるとお腹が痛くなる。理由は他にあるのだが、研究室でつけられたあだ名は「神経衰弱」。
 その「おれ」が、赴任の初日から生徒にからかわれる、という前途多難な短い教師生活をスタートさせる。その後、京都と大阪の姉妹高との対抗戦に向けて、剣道部の顧問をすることになったり、鹿に話しかけられたり...!?神経の細い人にはかなり過酷な体験だ。

 面白かった。一番だと思っていた「鴨川ホルモー」よりも面白いと思う。綴られているのは、ヤル気がない訳ではないが熱血でもない教師の、周囲に流されるがままの暮らし。しかし、そこここに笑いあり感動ありのエピソードが配置され、さらにその背景には1800年の歴史がある壮大な物語があった。
 「鴨川ホルモー」も「プリンセス・トヨトミ」も、奇抜な着想が作品を引っ張った感がある。もちろん本書の設定もかなり奇抜だけれど、個々のエピソードとそれを積み重ねた物語の組み立て方が上手く、それが「面白さ」につながっている。そんなわけで、いまさらですが、この本はオススメです。

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4つのコメントが “鹿男あをによし”にありました

  1. chai

    久々コメントです。「鹿男あをによし」大好きです。
    このなんとも言えない雰囲気。
    ドラマも好きな人ははまる世界だろうなぁと思いながら観てました。
    奈良って不思議な土地です。
    そうそう、私のブログのカテゴリ:旅の中に奈良旅行があります。
    そこにマイシカがいます(笑)

  2. YO-SHI

    chaiさん、コメントありがとうございます。

    テレビドラマの方はまだ見ていないんです。
    録画はしてあって、見ようと思えばいつでも見られるんだけど..

    奈良に旅行にいかれたんですね。ブログに美しい写真が載ってました
    私は神戸と京都に住んでいたことがあるのですが、近くても
    なかなか行かないもので、多分5回ぐらい(遠足なんかも入れて)

    でも、いろんなところにたくさんの鹿がいた(弁当を食われました)
    ので、観光客にマイシカはなくても、住民にはマイシカを持ってる
    人がいてもおかしくないように思いました。
    イトに冷笑されそうですが。
     

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