著 者:古田敦也
出版社:PHP研究所
出版日:2009年10月30日 第1刷 11月13日 第2刷
評 価:☆☆☆(説明)
著者のことは紹介するまでもないと思うが、元東京ヤクルトスワローズ選手兼任監督だ。1990年代から2000年初頭にかけてリーグ優勝5回、日本一4回の立役者。野村克也氏の「ID野球の申し子」とも言われる。
私がいつも拝見しているブログ「シャンとしよっ!」の、元フジテレビアナウンサーの松田朋恵さんが、司会を務めておられるテレビ番組「テレビ寺子屋」で、著者がお話をされていたのを見て、興味が湧いたので読んでみた。
「自己啓発も向上心もいいけれど、アクセクしてばかりじゃ疲れてしまう。世の中シロクロ決められることばかりじゃない。「優柔不断」で結構!」、という本ではない。優柔「不断」ではなく優柔「決断」。「柔軟に情報を取り入れ、最後は自分の責任において決断する」という意味の著者の造語だ。ちなみに「優柔」も「ものごとに煮え切らないこと」ではなく「優れた柔軟さ」と解釈する。
造語のセンスは良いが、言っていることはごく普通のことかもしれない。あえて単純化すれば「情報を入力して判断して結果を出力する」何の変哲もない。ところが、これを私が言うのと著者が言うのとでは決定的な違いがある。著者の野球のポジションはキャッチャー。「ピッチャーが投げないと試合は始まらない、と言うことがあるけれど、私らからすれば、キャッチャーがサインを出さないと試合は始まらない」ということを、番組でおっしゃっていた。
年間約140試合、1試合で平均して130球ぐらい、そのすべてに15秒から20秒で決断してサインを出す、それを15年以上。アマチュア時代から考えればもっと長期間、もっと数多くの決断をしてきた。もちろん、監督となってからは、チームの采配のための決断もしなくてはならない。著者の人生は「決断」とともにあったのだ。これが、私を含め他の人が言うのとの決定的な違いだ。
野球のサインなんか、思い付きで出してるんじゃないの?というのは、ほぼ不正解。著者の場合は、膨大なデータのインプットと事前のシミュレーションから、次の一球を決めているそうだ。しかし、その著者をしても「もう、これでいってしまえ」ということはあるらしい。だから「ほぼ」不正解。ただ、「もう、これでいってしまえ」も「決断」であることには違いない。
これ以外にも、最近の若い選手たちのことや、野村克也氏のこと、「コミュニケーション」や「組織」や「プロとしての心構え」などをテーマを、読者に柔らかく軽やかな口調で語りかける。著者やスワローズのファンでなくても、一読の価値アリ。
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【書評】「優柔決断」のすすめ
「優柔決断」という見慣れない、聞きなれない言葉。
発刊当初、書店でみかけた際に、『「優柔不断」のすすめ』と空目してしまい、実はわりと長い間、勘違いしたまま過ごしていた(汗)
「古田さん、なんか変なこと勧めているなあ」なんて思ってしまったくらいだ(すいません…)…
YO-SHIさん、ブログへのコメント並びに早朝番組の視聴(笑)ありがとうございました!
古田君の話だからこそ説得力がある・・・・確かにその通りです!!
失敗を恐れて決断や勝負を避けている人が多い現代人に読んでほしい本ですよね。
ちなみに、わたしも8/7のブログに「鹿男」の感想をアップしましたよ~。
松田朋恵さん、コメントありがとうございます。
松田さんのブログを見なかったら、おそらく視ることのなかった
番組だろうと思います(笑)。でも、良い番組に出会ったと思い
ブログの取り持つ縁に感謝しています。
そういえば、古田さんの奥さんの中井美穂さんは、松田さんの
フジテレビの後輩なんでしたね。
「鹿男」の記事も拝見しました。この本を片手に奈良へ行って、
藤原くんの解説で古代史探訪、というのもいいですね。