著 者:有川浩
出版社:幻冬舎
出版日:2009年8月25日 第1刷発行 2010年8月25日 第3刷発行
評 価:☆☆☆☆(説明)
フジテレビ系列で本書が原作のテレビドラマを放映中で、今日が最終回。でも、その日にこの記事を書いているのは全くの偶然。図書館の順番待ちで、本書が手元に来たのが3週間前。同じように図書館で予約した本と、いただきモノの本がそれぞれ3,4冊重なって、なかなか手を付けられないでいる間に、返却期限の今日を迎えた、というわけ。
しなくてもいい言い訳はこれぐらいにして、本書について。序盤は「今回は変化球か?」と思わせた。アンソロジーの「Story Seller2」で、ちょっと読み心地の良くない短編を出した後でもあるので「これはキツイなぁ」と感じたが、ラスト近くになって直球を投げ込んできた。
主人公は誠治。一浪してそこそこの私大へ行って、そこそこの会社に就職したが3か月で辞めてしまった、現在第二新卒として就職活動中のフリーター。アルバイトのコンビニも店長から注意を受けた時に辞めてしまった。その理由は「俺的にもう無理なんでー」。つまり、腰の定まらないいい加減なヤツなのだ。
その後もバイトで小金を稼いでは、部屋でダラダラする生活。しかし、その生活態度を強烈に反省させる出来事が起きる。母親の寿美子が精神疾患を患ったのだ。その連絡を受けて嫁ぎ先から駆け付けた、姉の亜矢子から聞かされた過去の出来事の真実の姿、寿美子が背負ってきたストレス。自分がこんなでは母を救うことはできない...。
こうして主人公の誠治が心を入れ替えて、元のような明るい笑顔があふれる家族を取り戻そうと努力する、その結末は?、という物語なのだがそれだけではない。著者は、誠治のために、もう一つの物語を用意していた。こっちの物語の方が著者としての直球だ。
「三匹のおっさん」で「おっさん萌え」をカミングアウトした著者は、今回も萌えるおっさんたちを登場させた。誠治のバイト先の工事現場のおっさんたちだ。「俺らは学がねぇから...」と言いながら語る話は、人や人生への洞察に満ちていて、誠治をどれだけ助けたか分からない。特に、作業長の大悦は、「図書館戦争」シリーズの玄田を思い起こさせる、カッコイイ大人だった。
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【書評】フリーター、家を買う。
以前に「日経ネット丸の内Office」でweb連載されていたものの単行本化ということだが、連載当時にまったくチェックしていなかったので個人的な気分は書き下ろしと全く変わらない。
【after hour】として20ページ程度の書き下ろしストーリーも収録されている。
娯楽小説なので…
このタイトルのドラマが放映されているのは知っていましたが・・・年末にこの本を手にしたくなりました。
みことみさん、コメントありがとうございます。
なかなかいい本です。読み始めはちょっとブルーな気持ちになるかもしれませんが
読み終われば、いい話だったなぁ、と思ってもらえると思います。
テレビドラマとは、ストーリーがだいぶ違うようです。