駆け出し魔法使いとケルトの黄昏

著 者:ダイアン・デュエイン 訳:田村美佐子
出版社:東京創元社
出版日:2010年10月22日 初版
評 価:☆☆☆☆(説明)

 東北地方太平洋沖地震発生から2日余り。報道で見る惨状と、いつもどおりの暮らしを続ける私とのギャップに戸惑いました。本の感想なんか書いていていいのか?と。しかし、募金するぐらいしかできることを思い付きませんでした。亡くなった方のご冥福をお祈り申し上げます。そして、一刻も早く元の平穏な暮らしを取り戻せるよう、祈ってやみません。

 「駆け出し魔法使い」シリーズの第4弾。異世界のニューヨークの街、深海、宇宙の涯と、これまでドンドン遠くへ、ドンドンあり得ない場所へと舞台を移してきたが、今回の舞台はアイルランド。ちょっと近いけれども、アイルランドは「妖精の国」「伝説・神話の国」。不思議なことが起きる国なんだそうだ。主人公ニータが「夜中に声がしたので外に出て行って見たら誰もいなかった」と報告すると、アイルランドに住む伯母さんが応えた「アイルランドへようこそ」

 魔法使いとしての任務に没頭するニータの身体を心配して、彼女の両親はアイルランドに住むニータの伯母のところへ、休養のためにニータを送る。しかし、ニータがアイルランドに来たのは、両親の考えには違いないが、もっと大きな意思が働いていたようだ。ニータにはアイルランドで果たすべき任務があった。そこは、魔法に満ち満ちた場所だった。

 今回の任務は、ニータだけに与えられたものではない。アイルランド中の魔法使いを総動員しての一大作戦の一員として、ニータは参加することになる。対する相手は、ニータの宿敵とも言える「孤高なる者」。彼は様々な姿をしてこの世に現れる。今回はアイルランド神話の魔神となって、魔法使いたちの前に立ちはだかる。古代の伝説の戦いの再来だ。倒せなければ世界の破滅を招く...。
 ニータが活躍する場面があまりなかったのが残念だけれど、善悪の対決の図式は分かりやすいし、スケールも大きい。シリーズの中で本書が一番ワクワクした。

 「妖精」と聞くと、背中に羽がある小さくてか細い生き物を思い浮かべがちだけれど、本書の妖精は凛々しく力強い。(「サークル・オブ・マジック」に登場した妖精もそうだった。)アイルランドの妖精には、こうした力強いものも、醜いものもいるそうだ。ちなみに著者は、ニューヨークで生まれたが、現在は本書の舞台となったアイルランド・ウィックロウ在住。

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2つのコメントが “駆け出し魔法使いとケルトの黄昏”にありました

  1. YO-SHI

    片木慎一さん、コメントありがとうございます。

    興味がおありでしたら、ぜひ読んでみてください。
    ただ、この本はシリーズ4巻目なので、できれば1巻目から
    読まれた方が楽しめるかと思います。

    地震のことは、一刻も早く事態が収束することを祈るばかりです。

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