著 者:畠中恵
出版社:新潮社
出版日:2006年12月1日発行 2008年11月30日 第29刷
評 価:☆☆☆(説明)
「しゃばけ」「ぬしさまへ」に続く「しゃばけ」シリーズの第3作。今回も「ぬしさまへ」と同じく短編集。表題作の「ねこのばば」を含めて5つの短編が収められている。
1つだけ挙げるとすると、最後に収録された「たまやたまや」が良かった。主人公の一太郎が、幼馴染のお春ちゃんの婚約者の調査に乗り出す。病弱で寝込みがちな一太郎が、走ったあげく、事件に巻き込まれて絶体絶命のピンチに陥る。珍しくサスペンス調なのだ。
裏表紙に書いてある「若だんなと妖怪たちの不思議な人情推理帖」という言葉が、このシリーズを端的に表している。特に、物語全体に流れる雰囲気が、最後の「人情推理帖」という言葉に表れる。本書収録の5編とも、江戸庶民のひたむきさと切なさを感じる人情物語だった。
実はどの物語にも根っからの「悪人」は登場しない。ほとんどの物語で殺人事件が起きて、もちろん犯人もいる。しかし、犯人は「悪人」だから人を殺めたわけではない。その境遇や人間的な弱さ故に人に手を掛けてしまう。だから、事件が解決しても、安堵と共に切なさが残る。喝采を挙げることもない。ハッピーエンドなのかどうか微妙だ。(「たまやたまや」は、私としてはハッピーエンドだと思う)
病弱でも明るさを失わない主人公の一太郎と、妖怪たちのユーモラスなやり取りが、物語の切なさとのバランスを取っている。
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こんばんは(*^_^*)
「ねこのばば」
私はお雛ちゃんの話しが一番、印象に残っていますが
広徳寺の寛朝さんの密かなファンです♪
「しゃばけ」シリーズは「ねこのばば」までの3冊が
私の中では完成度が高いです
それ故、今は惰性で読んでいる・・・って感じです(^_^;)
十六夜さん、コメントありがとうございます。
ここまでの3冊が完成度が高い、というお話をいただいていたので
この本までは読んでみようと思っていました。
中学生の娘もいっしょに読んでいるのですが、「ぬしさまへ」までは
とても気に入っていたのですが、この本はちょっと反応が低調でした
少ししんみりしすぎたようです。
お雛ちゃんって、飛びぬけてキャラが立っていますね。
寛朝さんも、スピンアウトが出てもおかしくない、いいキャラしてます。
しゃばけシリーズは、けっこう購入しましたーww
きゅわきゅわ鳴く、鳴屋がかわいいですよねー♪
あとあと、柴田ゆうの挿絵が好きです♪
途中から、どっちかっていうとそっち目当てになっちゃったりして。
ポポロさん、コメントありがとうございます。
あの挿絵の作家さんは柴田ゆうさんっておっしゃるんですね。
実在しない、というか普通の人には見えない妖たちを
イメージ通りに描けるのはすごい才能ですね。