王国の鍵6 雨やまぬ土曜日

著 者:ガース・ニクス 訳:原田勝
出版社:主婦の友社
出版日:2011年6月30日 第1刷発行
評 価:☆☆☆(説明)

 月曜日から始まって日曜日に終わる7冊シリーズも、本書で6冊目の土曜日。最後から2冊目になった。今回主人公アーサーが対決するのは、「卓越したサタデー(原書では、Superior Saturday)」。世界の中心に位置するといわれている「ハウス」の上層の管財人。

 サタデーは、これまでの5巻でも、本人は登場しないがその暗躍が見え隠れしていた黒幕キャラ。いよいよ本書の冒頭で姿を現す。どうらや彼女は(サタデーは女性なのだ)、創造主がつくった最初のハウス住人という太古からの存在らしい。それ故に、創造主の息子であるサンデーより、自分が上位であるべきだとの、強烈な自負を抱いている。

 アーサーの冒険にはいつもながらハラハラさせられる。しかし、本書は約300ページで、他の巻より100ページほど短く、その分冒険もあっさりしていた感は否めない。実は、上に書いたサタデーの強烈な自負が描かれたことが、本書の最大のポイントと言っても過言ではない。サタデーその人が登場し、これまでの様々な事件のウラを明らかにしたことで、最終巻への準備が整えられたのだ。つまり、本書はこれまでの5巻と最終巻を橋渡しする「つなぎ」の巻だと思う。

(2011.7.12追記)
訳者の原田さまからわざわざコメントをいただきました。最後にアーサーが唱えたセリフに誤りがあるそうです。(誤:中層/正:上層)
コメントで原田さまもおっしゃっているように、大事な決めぜりふではあるのですが、この誤りが物語の面白さを減じるものではありません。どんなに注意しても、何人で見ても、それをかいくぐって生き残る間違いがあるんですねぇ。

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2つのコメントが “王国の鍵6 雨やまぬ土曜日”にありました

  1. 原田 勝

    いつもレビューをありがとうございます。
    「王国の鍵」の訳者の原田です。
    ご指摘のとおり、アーサーの最後のせりふでうっかりミスをしてしまいました。
    中層ではなく、上層が正です。
    大事な決めぜりふなのに、ほんとうに申しわけありません。
    「日曜日」ではこういうことのないように注意します。

    また、レビュー500本、おめでとうございます。
    これからも記事を楽しみにしています。

  2. YO-SHI

    原田 勝さま、コメントありがとうございます。

    そうでしたか、やはり間違いでしたか。
    そうではないかと、心の半分では思っていたのですが、
    裏読みが好きなもので、「仕掛け」かもしれない、
    という思いを吹っ切れませんでした。

    ご連絡ありがとうございました。ミスだと分かれば
    それ以上問題になるようなことでもないと思います。
    記事の本文でもそのように紹介させていただきました。

    思えば、出版社の主婦の友社さんから「月曜日」を
    いただいたのが、このシリーズとの出会いでした。
    今では私だけでなく、娘2人も楽しんでいます。
    よい本を教えていただいて感謝しています。
    訳者と出版社がどのような関係なのか分からないのですが
    機会があれば、お礼を伝えてくださるとうれしいです。

    「日曜日」も楽しみにしています。

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