ひたむきな人のお店を助ける 魔法のノート

著 者:眞喜屋実行
出版社:ぱる出版
出版日:2011年7月1日 初版発行
評 価:☆☆☆(説明)

 著者の眞喜屋実行さまから献本いただきました。感謝。

 主人公は山田一歩。大学4年生。学校近くの地鶏屋のアルバイトをしていた彼女は、店主の入院によって店長代理になり、おまけに店の立て直しをしなくてはならなくなった。銀行への返済が滞っており、滞納分だけでも納めないと店を手放さないといけないからだ。期限は3か月あまり。
 そんな彼女の前に、亡くなったはずの父が現れる。「しばらく前に送ったノートはあるかい?きっと今の一歩に役立つはずだよ」と告げた。ノートとは、父が亡くなる直前に一歩に送ったもの。各ページにひと言ふた言書いてあるだけのノート。一歩が最初に開いたページには「窓の外は、雪」と書かれていた。はたしてその意味は?

 本書は、一歩が店の経営を立て直していく、物語形式の実用書だ。近いところでは「もしドラ」が思い浮かぶ(「もしドラ」の著者の岩崎夏海さんが、帯に推薦を寄せている)。私が思いつく限りでも、古くは「金持ち父さん貧乏父さん」や「ザ・ゴール」以降、結構売れた本が何冊かある。
 売れた本と言えば「ソフィーの世界 」「夢をかなえるゾウ」も、それぞれ「哲学書」「自己啓発書」を物語形式にしたものだ。人に何かを伝えようとする時、物語はとても強力な方法なのだろう。100年、1000年を越えて語り継がれるものもあるのだから。

 ただし難点もある。実用書なら実用書としての内容と、物語としての魅力との両方が揃わないと、中途半端なものになってしまう。著者は販売促進関連の仕事が本職で、それについては自信も持っていらっしゃる。だから、本書は実用書としての内容は、地に足の着いた確かなものを感じた。サービス精神からか、いろいろな要素を入れ過ぎた感はあるが、物語としての魅力も、最後まで飽きずに読めるのでそれなりにある。及第点といったところだろうか。

 そうそう、長い物語を今回初めて書いた著者は、「窓の外は、雪」を地で行ったことになる。

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