森見登美彦の京都ぐるぐる案内

著 者:森見登美彦
出版社:新潮社
出版日:2011年6月30日 発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 森見登美彦さんによる京都のガイドブック。これまでに膨大な数の「京都のガイドブック」が発行されたことと思うが、これほど私的な偏りのあるガイドブックは、そう多くないだろう。「左京区」に多くの誌面を割いているのだけれど、銀閣寺も南禅寺も平安神宮もない。それは、著者のその場所に対する思い入れの程度によるのだろう。

 それなら何処が載っているのかというと、「鴨川デルタ」「下鴨神社」「京都大学」「進々堂」「吉田山」...(掲載順)。ここに挙げた全部にピンと来た方は、かなりの京都通か、森見登美彦通だろう(3番目の「進々堂」の難易度が高い)。
 森見登美彦通の方はもうお分かりと思うが、このガイドブックに載っている場所は、著者の思い入れがあるだけではなく、その作品に登場した場所だ。「左京区」の他には、四条大橋や叡山電車、それから「竹林」なんてのもある。それぞれの場所のページには、そこが登場した作品の1節が載っている。

 はっきり言って、これは著者の作品のファンに向けられた本だと思う。映画やテレビドラマの舞台やロケ地が、観光地として賑わっているそうだけれど、そのノリだ。作品に登場したあの場所の写真を見て、「こんなところだったんだ」と思い、「いつか行ってみよう」と誓う。...ということで、森見ファンにおススメ。

 ※森見登美彦さんのブログ「この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ」によると、森見さんは現在、病気療養中だそうです。一日も早いご回復を祈ります。

 この後は、ちょっと私事を話しています。お付き合いいただける方は、どうぞ

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 ピンと来たのは「京都通か、森見登美彦通だろう」と書きましたが、もう一つ付け加えます。それは「京都大学の関係者」です(私は30年前にそこの学生でした)。「難易度が高い」とした「進々堂」は、京都大学本部構内の北門の向かいにある喫茶店なんです。

 1930年創業と言いますから、元学生・職員が通っていた時には、まず間違いなくそこにあったわけです。まぁ逆に言うと、京都大学の関係者で知らない人はいないんじゃないかと思います。私も何度も行きました。その当時から、落ち着いた雰囲気が特別な評判を呼んでいて、「進々堂でコーヒーを飲みながら本を読んでいるのがカッコいい」と思って...

 だから「進々堂」の写真を見て、こみ上げるものがありました。森見作品の愛すべき登場人物たちが多く住む叡山電車沿線に、私も住んでいました。「鴨川デルタ」にも「下鴨神社」「叡山電車」にも、体に小さな震えが来ました。☆4つには、この想いが含まれています。

 森見さんのファンでなくても、「進々堂」や「鴨川デルタ」などに思い出がある人も、一度手に取ってみるといいと思います。

森見登美彦の京都ぐるぐる案内”についてのコメント(1)

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