まほろ駅前番外地

著 者:三浦しをん
出版社:文藝春秋
出版日:2009年10月15日第1刷発行
評 価:☆☆☆(説明)

 「まほろ駅前多田便利軒」の続編。前作は、2006年上半期の直木賞を受賞し、昨年4月には、瑛太さん、松田龍平さんの主演で映画化されている。そして本書も、テレビ東京でドラマ化され、来年放送される予定。しかも、キャストは映画と同じ2人が務めるそうだ。これは楽しみ。

 主人公は、多田啓介と行天春彦。多田は、まほろ市という架空の街(一説によると町田市がモデルらしい)の駅前で「多田便利軒」という便利屋を営む。行天は、多田の高校時代の同級生。特に多田と仲が良かったわけでもないのだけれど、「多田便利軒」の助手として居候している。

 助手としての役にほぼ立っていない行天を筆頭にして、この物語の登場人物たちは、端役に至るまで個性が豊かだ。ヤクザまがいの青年、ちょっとボケ気味なおばあちゃん、妙に大人びた食えない小学生の少年、バスの間引き運転の証拠をつかむことに執念を燃やす老人...。

 実は彼らは、前作にも登場している。本書は7つの短編からなる短編集なのだけれど、その内の4編は、前作で登場した彼らの物語なのだ。個性豊かな登場人物たちだし、それぞれにファンもいるようだ。1回登場させただけではもったいない。
 つまりこの4編は、前作の読者へのボーナストラックのようなものだ。「続編」と書いたが、タイトル中の「番外地」が醸し出すように「番外編」でもあるのだ。

 他3編を含めた7編の中で、「食えない小学生」の田村由良くんの話「由良公は運が悪い」が、私は一番楽しめた。家族で公園に行く予定の休日に、両親の都合が急に悪くなった。一人で出かけて友だちを呼び出そうと取り出した携帯電話が電池切れ...。「運が悪い」ことが続いたが、極めつけは「行天と出会ったこと」。でも由良くん、けっこう楽しかったよね。

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2つのコメントが “まほろ駅前番外地”にありました

  1. 本カフェ・フウガ

    こんにちは。

    テレビドラマ化うれしいですね!!今のところ伝聞ですが、来年のドラマ化に際し、エピソード数を増やす為、まほろ駅前シリーズの第三弾が刊行される予定だとか。

    ドラマ的には多田と行天に、更なるスポットを当てる必要があるでしょうから、シリーズの読者としては、噂が真実になって欲しい物だと切に願うだけです。

  2. YO-SHI

    フウガさん、コメントありがとうございます。

    第三弾のうわさもあるんですね。それは楽しみです。
    ドラマの方も、どんな仕上がりになるのか。
    早く見たいですね。
     

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