バビロンの魔女

著 者:D・J・マッキントッシュ 訳:宮崎晴美
出版社:エンジン・ルーム/河出書房新社
出版日:2012年9月30日 初版発行
評 価:☆☆☆(説明)

 発行元のエンジン・ルームさまから献本いただきました。感謝。

 本書は2007年度の英国推理作家協会デビュー・ダガー賞候補、2008年カナダ推理作家協会の未出版作品部門の最優秀賞を獲得。長編としては著者のデビュー作。

 最近の流行なのか、英語圏のミステリーの一分野なのか、ダン・ブラウンの「ダ・ヴィンチ・コード」以降、良く目にするようになった「古代史の謎」を題材としたアクション・ミステリー。本書が題材としているのは、旧約聖書の文書のひとつ、預言者ナホムによる「ナホム書」。と言われても、聖書に詳しくなければ馴染みがないと思う。帯の訳者の言葉によれば「(その原本の発見は)日本でいうなら卑弥呼の手紙がみつかったような話なのです」だそうだ。

 物語の発端は、2003年のイラク戦争のさなかの敗色濃厚となったバグダッド。その混乱に乗じて、古代メソポタミアの貴重な宝物を収蔵する、イラク国立博物館が略奪に逢う。しかし、盗賊から守られるように、ある石板が密かに持ち出される。

 主人公はジョン、ニューヨークの古美術商。最近、自分が運転する自動車の事故で兄を亡くしている。ある日、友人のパーティに出かけるも、その夜にその友人が麻薬の過剰摂取で亡くなる。そして、パーティで出会った美女に「隠し場所をすぐに教えなさい」と脅される。

 その美女と亡くなった友人とさらにジョンの兄までもが、イラク国立博物館から持ち出された石板によってつながるらしい。物語は、こうした枠組みを紹介した後、緩急を付けながら流れ出す。友人が残した謎解き。新しい登場人物が次々と現れるが、果たして彼らは敵か味方か?ジョンが何度も窮地に陥りながら、舞台はニューヨークからトルコ、イラクへ。

 少し物語の流れが荒く感じる部分があるし、謎解きもあまり洗練されたものとは言えない。まぁ、それは勢いで読んでしまうと良いだろう。それから、主人公の生い立ちがあまり物語に生かされていない。しかし「訳者あとがき」によると、本書は三部作の1作目で、その辺りは後の2作に期待、ということらしい。

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