真夜中のパン屋さん 午前2時の転校生

著 者:大沼紀子
出版社:ポプラ社
出版日:2012年12月5日 第1刷発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 「午前0時のレシピ」「午前1時の恋泥棒」に続く、「まよパン」シリーズ第3弾。「Boulangerie Kurebayashi」という、午後11時から午前5時までの真夜中に営業しているパン屋を舞台としたミステリー。

 今回は主人公の希実のクラスに来た転校生が騒動の中心。彼の名は美作孝太郎。何と左手に腹話術の人形のアンジェリカを携えて教室に現れた。そして、アンジェリカには予知能力があると言って、希実に「君に危機が迫っている」と警告した。

 希実の周りには、かなり際立ったキャラクターが多い。夜中に徘徊していた小学生、ホームレスだったニューハーフ、のぞき魔の変態、裏社会に生きる飲食店経営者...。変人はもう十分過ぎる。希実の言葉を借りると「お腹いっぱい」だ。

 しかし、毎回新しい登場人物が現れて、その登場人物を巡る騒動に主人公の希実らが巻き込まれる。そして、その登場人物は次回以降にも何らかの役割が与えられ、いわば「まよパン」ファミリーの一員となって、物語を盛り上げる。どうやらそんな趣向らしい。

 物語は、孝太郎(正確にはアンジェリカ?)の予言に希実が振り回され、その内に(これまた変人と言うしかない)怪しげな医師が登場、彼の不穏な行動が孝太郎とその父との確執につながり...とスピードを増しながら転がっていく。

 本書は、希実の前に現れた孝太郎の目的は何なのか?怪しげな医師は何者なのか?など、本書で新たに登場した人物を巡る謎と、シリーズを通して追う主人公の希実を巡る謎の、二重のミステリーになっている。後者の謎がいよいよ目を離せない展開になって、ドンドン面白くなってきたので、前2作は☆3つだけれど、本書は☆4つにした。

「真夜中のパン屋さん」滝沢秀明さん主演でテレビドラマ化決定(2013年4月から/BSプレミアム)

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