薄妃の恋 僕僕先生

著 者:仁木英之
出版社:新潮社
出版日:2008年9月20日 発行
評 価:☆☆☆(説明)

 「僕僕先生」につづくシリーズ第2弾。主人公の王弁は、もともとは親の財産でノラクラと暮らしていたニート青年。前作では、師である僕僕先生の旅に同道して、大したことはできないけれど、他の人が真似できないことはできたりして、何となく弟子として認められた。

 今回は、それから5年後。王弁を残して神仙の世界へ行ってしまった僕僕先生が戻って来た。王弁と僕僕先生は再び旅に出る。今回は大陸を南下する。物語はその行く先々での事件→僕僕先生による王弁への「ムチャ振り」→解決、を描く。

 料理対決、豪雨に沈む街、許されざる愛、店の跡継ぎ問題、仇討ち…。とてもバラエティに富んだ事件が、2人の前に立ち現れる。もしかしたら僕僕先生の神通力を以てすれば、簡単に解決できそうな気もするが、修行の身の王弁が体当たりとも言える奮闘でことにあたる。

 前作より今回の方が楽しめた。舞台がずっと「こちら側の世界」だったからかもしれない。もちろん、こちら側の世界の事件であっても、裏には人外の者がたくさん関係している。そうした中に、親しみやすいキャラクターが登場していることも、楽しめた理由だろう。

 そのキャラクターとは、雷の子の砰(ばん)と人間の子の董虔(とうけん)、皮一枚の身体の薄妃(はくひ)さん。砰くんと董虔くんは「Fantasy Seller(ファンタジーセラー)」にも登場した。私にとってはこのシリーズの入り口になった存在。本書のタイトルでもある薄妃さんは、旅の途中で一行に加わった。この後も道ずれとなるのだろう。

 気になるキャラクターもいる。「面縛の道士」と呼ばれ、僕僕先生一行とは敵対する。この対立が今後の物語の展開の軸になるのだろうか?

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