億男

著 者:川村元気
出版社:マガジンハウス
出版日:2014年10月15日 第1刷発行
評 価:☆☆☆(説明)

 本屋大賞ノミネート作品。著者は「電車男」「告白」「悪人」などのヒット作を手掛けた映画プロデューサー。「映画プロデューサー」がどんな仕事なのかよく知らないのだけれど、才能のある人なのだろう。

 主人公は一男。30代後半。昼間は図書館司書として働き、夜はパン工場で生地を丸めている。働きづめなのは、失踪した弟が残した3000万円の借金の返済のためだ。妻と娘とは別居中。そんな一男が宝くじで3億円を当てる。タイトルの「億男」は、億円のお金を持っている男のこと。一男は「億男」になったのだ。

 「その3億円を元手に事業を起こして、失敗をしながらもお金の使い方を覚えて成長していく」という物語ではない。帯に「お金のエンタテイメント」なんて書いてあるので、そういった話かと思ったけれど、そうではない。

 一男は、今はベンチャー企業で成功しているかつての親友を、15年ぶりに訪ねる。3億円との付き合い方を相談するためだ。行った先には昔と変わらぬ親友がいた。が、その親友が3億円と共に消えてしまう。

 「お金と幸せの答え」が本書のテーマ。これを求めて一男は何人かの人物を訪ねることになる。かつて大金を手にした人たちだ。彼らの話から「お金と幸せ」について一男は考える。もちろん読者も一緒に考える。

 フワフワして地に足が付かなくて浅い感じがする物語だった。「宝くじで3億円当たったらどうする?」という話題が、大抵は現実感を持って語られないのと同じで、フィクションの大金持ちの話なんてフワフワしたものなのかもしれないけれど。

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