ナイチンゲールの沈黙

書影

著 者:海堂尊
出版社:宝島社
出版日:2006年10月21日 第1刷 発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 ヒット作「チーム・バチスタの栄光」の続編。前作で起きた、大学病院を揺るがした、最先端医療の花形チームのスキャンダルから9か月後、という設定。

 主人公と舞台は前作と同じ。主人公は田口公平。東城大学医学部付属病院で「不定愁訴外来(通称愚痴外来)」の責任者。舞台はこの大学病院。前回は外科チームで事件が起きたが、今回は主に小児科での出来事を描く。

 タイトルの「ナイチンゲール」は、ダブルミーニングで使われている。1つは、フローレンス・ナイチンゲール。看護師の象徴的に扱われているクリミア戦争に従軍した看護婦。もう1つは「小夜啼鳥」、英語名がNightingale。夕暮れ後や夜明け前に美しい声で鳴く鳥の名だ。

 小児科病棟の看護師の浜田小夜が、今回の準主人公。その歌声には誰もが魅了され、忘年会では大賞を受賞する。彼女が立ち寄ったライブハウスで急病人が出て、救命救急センターに搬送される。その後にも、彼女の周囲で様々な出来事が続く。そして物語は殺人事件に発展していく。

 このシリーズの特長というか楽しみは、個性的なキャラクターの登場にある。前作で見せた傍若無人な振る舞いが、なぜか憎めない厚生労働省の調査官の白鳥佳輔が再び登場する。さらに今回は白鳥の同級生という、刑事の加納達也が加わる。あと「ガンガントンネルの魔人」なんていうのもいる。

 小児科が主な舞台なので、子どもの患者が多く出てくる。それぞれが背負うものを思うと、胸が潰れる思いがする。そこを個性的なキャラクターやテンポのいい会話によって、暗くならなずに読めるようになっている。

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です