ゴミ情報の海から宝石を見つけ出す

書影

著 者:津田大介
出版社:PHP研究所
出版日:2014年2月3日 第1版第1刷発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 著者は、ネット空間だけでなくテレビ、ラジオ、雑誌などのメディアでも活躍中。ツイッターのコミュニティで「tsudaる」という言葉が生まれたように、その存在は他にはない位置づけとなっている。著者紹介に書かれた肩書きは「ジャーナリスト、メディア・アクティビスト」。「メディアの活動家」という説明が実に似合っていると思う。

 そんな著者には質問が多く寄せられるらしい(著者のメルマガの購読者は、有料で質問ができる)。本書は、質問に答えるQ&A形式で、著者の具体的な方法論や発想の仕方を述べたもの。「メディアはどこへ行く」「情報のチューニング」などの6つの章に分けて、全部で64のQ&Aが並ぶ。

 例えば「メディアは信用できない。成熟した情報の受け手になるには?」という質問。これには著者は、まず「ほとんどの人が「メディアは信用できない」と思っているわけではない」と、冷静にクギを刺す。続いて「多様な情報の中から必要な情報を選び出せるようになるには、自分の中に軸が必要」と説く。そのためには「書店に行って、単行本を買って読むことから始めましょう」と受ける。

 偉そうな言い方で恐縮だけれど「ネットの「可能性」と「限界」をしっかりと見据えているなぁ」と思った。情報源は、本からが3割、人づてが4割、ネットからが3割。「人づて」の割合が一番大きいのが、おそらく著者の情報収集の肝なのだと思う。私も見倣いたいし覚えておきたい。「津田大介=インターネットの人」と思っている人には見倣ってほしい。

 覚えておきたいことがもうひとつ。プロローグに書いてあった「エコーチャンバー(共鳴室)効果」。ツイッターやFacebookでは、自分と考えが近い人、共感しやすい人とつながりやすい。その結果、自分と似た意見が世間の多数派に見えてしまうことがある、という現象を差す用語。自分の周囲から政治家まで、これに陥ってしまっていると思われる人が、大勢思い浮かぶ。自分はどうなのか?の点検も必要だ。

 「ツイッターでフォロワーを増やす方法」「しつこくからまれたら」といった、「知っておきたい質問」もたくさんあって、その答えも実践的で役に立ちそう。おススメ。

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